「手に取るように(てにとるように)」という表現があります。
何かを手で触ると、その細かな感触が分かることから来ています。
この記事では、「手に取るように」の意味と使い方、類義語や英語表現まで詳しく紹介しています。
手に取るようにの意味は?
「手に取るように」とは、非常にわかりやすい様子や、明白であることを表す表現です。
まるで目の前に実際にあるものを手に取るかのように、具体的で理解しやすい状態を指します。
また、簡単に物事が進んでいく様子や、すぐに実現しそうな状況を示す意味でも使われます。
ただ、現在では、前者の目の前の事実が直接手に取るかのように理解しやすい状態を指すのが一般的な用法となっています。
手に取るようにの由来は?
「手に取るように」は、元々は「手の中にあるもののように」という意味だったようです。
手の中に物があれば、その物の状態を見たり触ったりして直接確認できるように、物事が細部まで明確に理解できる状況を表しています。
実際に、1678年に書かれた浄瑠璃「酒顛童子付頼光山入」には
おにかみをも手の内に。にぎる程のつはものなれば。あっはれしさいは候まじと。只手に取やうにぞ申さるる
と記されています。
したがって、江戸時代にはすでに広く知られていた表現だと考えられます。
手に取るようにの使い方をご紹介
「手に取るように」の使い方として、5つの例文を紹介します。
先述したように、現在では「物事がはっきりと理解できる」という意味で使われるのが一般的です。
そのため、ここでは、簡単に事が運ぶ、すぐに実現しそうな様子という意味での例文は紹介していません。
- 彼の説明はとてもわかりやすく、複雑な理論も手に取るように理解できた。
- その小説の描写は細かく、読んでいると登場人物の感情が手に取るように感じられた。
- 突然の質問を受けて、彼の表情が一瞬で変わったことから、とても動揺していることが手に取るように分かった。
- このプログラミングコースを受講すれば、複雑なコードも手に取るように理解できるようになる。
- 彼女の手紙からは、遠く離れた場所で感じている寂しさと、再会を望む心境が手に取るように伝わってきた。
手に取るようにの類義語をご紹介
「手に取るように」の類義語は、明白である、理解しやすいという意味の言葉が当てはまります。
- はっきりと
- くっきりと
- ありありと
- まざまざと
- 目に見えて
- 鮮明に
- 如実に
などの表現があげられます。
手に取るようにの対義語をご紹介
「手に取るように」の対義語は、ハッキリしない様子や分かりにくい状態を意味する言葉が考えられます。
- 曖昧(あいまい)
- あやふや
- おぼろげ
- 不明瞭(ふめいりょう)
- 不分明(ふぶんみょう)
といった表現があげられます。
手に取るようにの英語表現をご紹介
「手に取るように」の英語表現としては
- clearly
- perfectly
- distinctly
- exactly
- obviously
などがあげられます。
全て「明らかな」という意味の副詞なので
(彼は明らかに困惑していた。→彼が困惑しているのが手に取るように分かった。)
というような形で使うことができます。
その他、“It’s crystal clear”や“It’s as clear as day”とすると、「とても明らか」→「手に取るように分かる」というニュアンスを強調できます。
例えば
(彼女のメールを読んだ後、彼女がどれほど家を恋しがっているかが手に取るように分かった。)
ということができます。
まとめ
「手に取るように」とは、物事が非常に明瞭で理解しやすい状態を指す表現です。
元々は「手の中にあるもののように」という意味から来ているようです。
実際に何かを手に持つと、その細部まではっきりと分かるようになりますね。
この感覚をイメージすると、意味も理解しやすいでしょう。
日常生活の様々な場面で用いられる表現なので、うまく使いこなせるようにしたいですね。