「同じ轍を踏む」という慣用句があります。
簡単に言うと、同じ失敗を繰り返すという意味です。
由来となった言葉の背景を知ると、イメージしやすいかと思います。
この記事では、「同じ轍を踏む」の意味と使い方、類義語や英語表現まで詳しく紹介しています。
同じ轍を踏むの意味は?
まず、「同じ轍を踏む」の読み方は「おなじてつをふむ」となります。
轍の音読みは「てつ」、訓読みは「わだち」です。
そのため、「おなじわだちをふむ」と読むこともありますが、一般的には「おなじてつをふむ」が正確な読み方です。
「同じ轍を踏む」の意味は、過去に誰かが、あるいは自分自身が経験した失敗を再び繰り返すことです。
失敗したのが自分であれ他人であれ、その失敗から学びを得ていない状況に適用されます。
多くの場合、一度目の失敗はその原因がハッキリしており、適切な対応をすれば避けられるはずだったのに、準備不足や対策をしなかったため、再び同じような失敗を犯してしまうときに用いられます。
同じ轍を踏むの由来は?
轍(てつ)というのは、車輪が地面に残した跡のことを指します。
この言葉の背景には、新たに進む車が先行する車の轍にはまり、その結果転倒するという状況があります。
特に地面がぬかるんでいる場合、車輪の跡が深く残り、後続の車がその轍に捕らわれやすくなります。
このような状況から、同じ過ちを繰り返すことのたとえとして、「同じ轍を踏む」という言葉が生まれました。
後ろの車が、先に進んでいた車の跡を踏んで転倒する様子を思い浮かべると、意味が分かりやすくなりますね。
同じ轍を踏むの例文をご紹介
「同じ轍を踏む」の使い方として、例文を5つ紹介します。
- 同じ轍を踏むという言葉通り、チームは前回の試合での敗因を分析せず、また同じ戦術で臨んだ結果、再び敗北した。
- 彼は過去の恋愛で痛い目にあったにも関わらず、また同じタイプの人に惹かれてしまい、同じ轍を踏むことになった。
- 会社は新しい市場に進出する際、過去の失敗を繰り返さないように十分注意した。誰もが同じ轍を踏むことを恐れていたからだ。
- 同じ轍を踏まないようにと自分に言い聞かせながら、彼女は以前の仕事でのミスを反省し、新たな挑戦に臨んだ。
- 歴史は繰り返すと言うが、私たちは同じ轍を踏むことのないよう、過去から学ぶべきだ。
同じ轍を踏むの類義語をご紹介
「同じ轍を踏む」の類義語として、「二の舞を演じる(にのまいをえんじる)」があげられます。
他人が過去に犯した失敗を再び繰り返すことを意味する表現です。
特定の失敗や不幸な結果をもたらした行動パターンを、自分もまた同じように行ってしまい、同じ結果に至ることを指します。
「同じ轍を踏む」と非常に似た意味合いを持ち、過去の教訓を生かさずに同じ過ちを犯すことの戒めとして使われます。
また、よく指摘されるように、「二の舞を踏む」という表現は誤用です。
正しくは「二の舞を演じる」であり、「踏む」ではなく「演じる」が適切な動詞です。
この混同は日常会話の中でよく見られますが、「二の舞を演じる」が正確な日本語表現なので、注意する必要があります。
その他
- 同じ過ちを犯す
- 同じ誤りを繰り返す
- 同じミスを繰り返す
- 懲りない
- 性懲りもない(しょうこりもない)
と言い換えることができます。
同じ轍を踏むの対義語をご紹介
「同じ轍を踏む」の対義語として考えられるのは、過去の失敗から学び、同じ過ちを繰り返さないことを示す表現です。
以下にいくつか例を挙げます。
- 過ちを繰り返さない
- 糧(かて)にする
- 肥やしにする
- 教訓を生かす
- 失敗を成功のばねにする
「過ちを繰り返さない」のように、「同じ轍を踏まない」というような言い回しで、否定形にすると便利ですね。
同じ轍を踏むの英語表現をご紹介
「同じ轍を踏む」の英語での表現としては、「to repeat the same mistake」があげられます。
直訳すると、そのまま「同じ過ちを繰り返す」となります。
(彼は、一度失敗した後もアプローチを変えず、結局同じ失敗を繰り返してしまった。)
という形で使うことができます。
まとめ
「同じ轍を踏む」とは、過去に犯した同じ失敗を再び繰り返すことを意味します。
由来は興味深いもので、イメージすると意味が分かりやすくなりますね。
人生において、過去の失敗から学び、同じ過ちを避けることはとても大切です。
その重要性を教えてくれる言葉と言えます。