「年貢の納め時」という慣用句があります。

物事をあきらめなければならない時を意味します。

日常生活でもよく使われる表現ですね。

この記事では、「年貢の納め時」の意味から、使い方や類義語と対義語まで詳しく紹介しています。

年貢の納め時の意味は?

「年貢の納め時」は「ねんぐのおさめどき」と読みます。

「年貢の納め時」とは、物事が成熟し結果を出すべき重要な時期や、避けられない決断や行動を取らなければならない状況を指す表現として用いられます。

特に悪事を働いてきた者が捕まって、刑に服さなければならない状態を指すことが多いです。

また、行動を起こす「決断の時」や「瀬戸際」という意味合いで使われることもあります。

年貢の納め時の由来は?

年貢は、かつて農民が大名や領主に対して納めていた税の一つのことです。

地域や時代によって異なりますが、穀物や金銭などで納められていました。

年貢の「年」には時間の単位としての意味の他に、穀物が実るという意味も含まれています。

「貢」は貢物を意味する言葉から来ています。

この2つの言葉が組み合わさって「年貢」という言葉が生まれました。

現代において税金の支払いを怠ると罰せられるように、昔も年貢の支払いを怠ると罰が課されました。

年貢を納めることができない場合、自らの食糧を提供するか、罰を受ける必要がありました。

この背景から、「年貢の納め時」という表現は、悪事をはたらいてきた者が、刑に服さなければならない状態を指すようになります。

また、広い意味で、ある状況に終止符を打つ必要がある時を意味するようになりました。

年貢の納め時の使い方は?

「年貢の納め時」の使い方として、例文を5つ紹介します。

  1. 彼は長年にわたり不正を重ねてきたが、ついに法の手が迫り、年貢の納め時が来たことを悟った。
  2. 企業の不正が発覚し、社長は公の場で謝罪することになった。まさに年貢の納め時となり、避けられない結末だった。
  3. 年貢の納め時というように、長年続けた事業も市場の変化には逆らえず、ついには事業の清算を決意した。
  4. 彼女は彼との関係がうまくいかないことに悩み、その結果、年貢の納め時と決意して別れを選んだ。
  5. 何度挑戦しても夢の実現が遠のくばかりで、新たな道を探す決心を固め、年貢の納め時を迎えた。

1と2の例文は悪事をはたらいて罰を受ける意味で、3~5の例文は物事に対して見切りをつけるという意味での使用例となります。

年貢の納め時の類義語は?

「年貢の納め時」とよく似た意味を持つ表現として、次の3つを紹介します。

万事休す(ばんじきゅうす)

全ての努力が無駄に終わり、これ以上の挽回が不可能な状態を意味します。

何をしても状況が改善しない時に使われることが多いです。

一巻の終わり(いっかんのおわり)

物語や事態が一区切りつき、終結することを示します。

一つの章や段階が完全に終わりを迎えた状況を表現するのに用いられます。

ここで会ったが百年目(ここであったがひゃくねんめ)

長い間別れていた人々が再会することを意味する言葉ですが、転じて、長い間続いたことが終わりを迎える、あるいは決着がつく時に使われることがあります。

また、ある事態が最終的に解決される様子を表すのにも使われます。

年貢の納め時の対義語は?

「年貢の納め時」の対義語としては、まだ終わりではなく、新たな展開や転機が待ち受けている可能性を意味する表現が当てはまります。

以下に、このような意味を持つ言葉を3つ紹介します。

二の足を踏む(にのあしをふむ)

決断や行動をためらう様子を指します。

何かを始める前に躊躇することで、まだ終わりや決断に至っていない状態を示します。

起死回生(きしかいせい)

絶望的な状況からの大逆転を意味する言葉です。

文字通り「死にかけたものを生き返らせる」という意味から、困難な状況を乗り越えて成功や勝利を収めることを表します。

年貢の納め時の終わりを迎える状況から、まさに逆転のチャンスを見出すことを示唆しています。

虎口を逃れる(ここうをのがれる)

非常に危険な状況や困難からうまく逃れることを意味します。

文字通り「虎の口から逃れる」という意味で、一見絶望的な状況から安全な状態へと脱出することを示し、まだ希望が残されていることを表現しています。

「虎口を脱する(ここうをだっする)」とも言います。

まとめ

「年貢の納め時」とは、避けられない決断や行動を取らなければならない重要な時期を意味します。

悪いことをしてきた結果として、報いを受けるのは当然のことでしょう。

ただ、そうでない場合でも、避けられない状況に直面したときに、あきらめが肝心になるときがあります。

人生において、どうしてもそういう状況は出てくるので、冷静に受け入れるようにしていきたいものです。