「逆鱗に触れる」という故事成語があります。
人を怒らせるという意味で、特に権威のある人物に対して使われる表現です。
この記事では、「逆鱗に触れる」の意味と由来、例文から類義語や対義語も紹介しています。
逆鱗に触れるの意味は?
「逆鱗に触れる」は「げきりんにふれる」と読みます。
大きな怒りを買うこと、または上位者や権力者を激怒させる行為を指します。
中国の伝説に由来しており、龍の喉元にある逆立った鱗に触れると龍が激怒するという話から来ています。
特に権威のある人物を怒らせるような行動を指す際に使われます。
逆鱗に触れるの由来は?
「逆鱗に触れる」の起源は、古代中国の文献「韓非子」に遡ります。
法学の専門家である韓非によって著されものです。
伝説によれば、竜は基本的にとても温和な生き物で、人々がその背に乗ることさえ可能でした。
しかし、竜の喉の下には、一枚だけ他とは逆方向に生えた特別な鱗があり、「逆鱗」と称されていました。
竜は、この特別な鱗に触れられると、とても不愉快になります。
普段は温和でも、逆鱗に触れられると激しい怒りに震え、制御不能になると言われています。
この話は、後に中国の皇帝を象徴するものとして用いられ、「逆鱗に触れる」という成句が、権力者を怒らせる行為を指す言葉として使われるようになりました。
逆鱗に触れるの使い方は?
「逆鱗に触れる」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 社長の意見に公然と反論した彼は、まさに逆鱗に触れる行為をしてしまった。
- 彼女は夕食の席で父親に余計なことを言ってしまい、思わず逆鱗に触れてしまった。
- 学生は何度も遅刻を繰り返し、普段は寛大な教授の忍耐も限界に達した。その無責任な行動が原因で、教授の逆鱗に触れてしまい、厳しい叱責を受けることになった。
- 彼女は会議で、小馬鹿にしたような言い方で上司の過去の失敗を指摘した。あんな態度をとられたら、上司の逆鱗に触れるのも仕方がないと思う。
- 彼は練習中にチームの戦略について、キャプテンに率直な意見を述べたが、それがキャプテンの逆鱗に触れ、チーム内の緊張が高まってしまった。
以上のように、「逆鱗に触れる」という表現は、目上の人、特に権威ある立場の人物を怒らせるときに使うのが一般的です。
自分自身や目下の人に対して「逆鱗に触れる」という表現を使うことは少ないです。
というのも、この表現の核心は「権威ある人物の怒りを買う」という点にあり、権力者や上位者、例えば皇帝や上司など、権威を持つ人物が対象になるからです。
自分自身や目下の人には通常、そのような権威の象徴とは見なされないので、「逆鱗に触れる」を使うのは適切ではありません。
ただし、比喩的にまたは広い意味で使われる場合、自分や目下の人が何らかの強い反応や怒りを示す状況を表すのに使うこともあり得ます。
ですが、これは一般的な用法ではないので、注意が必要です。
逆鱗に触れるの類義語は?
「逆鱗に触れる」の類語表現として、以下の3つを紹介します。
勘気をこうむる(かんきをこうむる)
他人から不快な感情や怒りを抱かれることを意味します。
特に、上司や目上の人からの不興を買うことを指すことが多いです。
ひんしゅくを買う
周囲の人々から強い不快感や反感を引き起こすことを指します。
社会的な常識やルールに反する行動を取った結果、他人から非難される状況を表します。
忌諱に触れる(ききにふれる)
タブーとされる事柄や、話題に触れてしまうことを意味します。
特に、相手が避けたいと思っている話題や、不快に思う事柄に無意識に触れてしまうことを指します。
逆鱗に触れるの対義語は?
「逆鱗に触れる」と反対の意味を持つ表現では、「琴線に触れる(きんせんにふれる)」があります。
人の心の深い部分に訴えかけ、感動や共感を引き起こすことを意味します。
「逆鱗に触れる」が怒りや反感を表すのに対し、「琴線に触れる」は感動や共感を表しています。
まとめ
「逆鱗に触れる」という故事成語は、権威ある人物を怒らせる行為を指します。
中国の伝説における竜の逆立った鱗に触れると激怒する話に由来します。
基本的に、権力者の怒りを象徴し、目上の人に対して使われる表現です。
広い意味で、自分や目下の人に対して使われることもありますが、一般的な用法ではありません。
特にビジネスシーンにおいては、誤解を招くこともあるので、注意して使うようにしたいですね。