ハクビシンは、とても見た目がかわいらしい動物です。

ですが、人間にとっては、実は何かと厄介な存在だったりします。

そんなハクビシンですが、最近は「かわいそう」という声が上がっているとか…

この記事では、ハクビシンがなぜかわいそうと言われるのか、その背景にある2つの大きな理由を紹介いたします。

害獣扱いされるから

ハクビシンが「かわいそう」と言われる理由の一つに、害獣扱いされることがあります。

これは、ハクビシンが農作物に被害を与えたり、生活環境に影響を及ぼすことが原因で、多くの地域で害獣と見なされています。

ハクビシンは雑食性で、特に甘い果物を好むため、果樹園や畑は彼らにとって格好の食料源です。
サクランボ、ビワ、ブドウ、カキなど、熟した果物を好んで食べるため、収穫前の果物が一夜にして食べ尽くされることも少なくありません。

このような被害は、当然、農家の経済的損失に直結します。
しかも、農作物被害への対策として、電気柵の設置や捕獲用わなの準備などをしなければならず、農家にとってはさらなる時間的、経済的負担が増えてしまいます。

また、ハクビシンは家屋に侵入し、屋根裏などで生活することがあります。
その結果、騒音や悪臭を伴う糞尿被害、時には電気配線への損傷など、人々の生活環境に悪影響を及ぼします。

寺社仏閣や文化財の破損、車両との衝突事故などを引き起こすこともあり、人間社会における様々なトラブルの原因となっています。

さらに、ハクビシンの糞害に関しては、猫の糞害と勘違いされることがあるようです。

一部の地域では、庭やベランダに現れる糞がハクビシンのものと考えられがちですが、実際には野良猫など他の動物のものである可能性もあります。

このような誤解は、ハクビシンに対するネガティブなイメージを強化し、害獣としての扱いを固定化してしまうことにつながります。

ハクビシンは、自然の中で生きる動物であり、彼らの行動は生存のためのものです。

ですが、人間の生活圏に侵入し、被害を与えることで害獣と見なされることが多いのです。

このような状況から、ハクビシンに対する同情や「かわいそう」という感情を生む原因になっているというわけです。

天敵が多いから

ハクビシンが「かわいそう」と言われるもう一つの理由は、天敵が多いことがあげられます。

ハクビシンの体長は1メートル程なので、それより大きい動物は自然と天敵になり得ます。

まず、フクロウやタカ、ワシ、ハヤブサなどの猛禽類が天敵となります。

これらの鳥類は鋭いツメやクチバシを持ち、特に生後半年くらいまでの若いハクビシンを襲うことがあります。
子育て中のハクビシンにとっては、当然大きな脅威となります。

また、ハクビシンにとって、犬も天敵になることがあります。
犬の場合、さすがに小型犬だと逆に負けてしまうことが多いですが、大型犬だとハクビシンを襲うことがあります。

さらに、意外な天敵がもう一つ。
実は、アライグマもハクビシンにとって大きな脅威になります。

ハクビシンとアライグマは、屋根裏や人の出入りが少ない廃屋に住み着くなど、生活環境が似ているため、しばしば遭遇し、巣やエサの奪い合いが発生します。

ところが、アライグマの気性は荒く、その結果、ハクビシンが負けてしまうことがほとんどです。

競争に敗れたハクビシンは、新しい住処を求めて他の住宅に侵入することがあります。

ハクビシンは、常に安全な住処や食料を求めてさまよう必要があるということなんです。

以上のような天敵による脅威は、ハクビシンが生きる上での困難を増やし、「かわいそう」という感情を生む原因の一つとなっているようです。

特にアライグマとの関係は複雑ですね。

アライグマもまた、害獣として扱われることが多いのですが、皮肉にもハクビシンはこのアライグマによって生活圏を奪われることがあるわけです。

ただ生きるために場所を求めているだけなのに、その努力が報われないのは、ちょっと切ないものがありますね。

まとめ

ハクビシンは、その愛らしい外見とは裏腹に、人間の生活にとっては厄介な存在となることがあります。

農作物や住宅に被害を与えることから、多くの地域で害獣と見なされています。

また、天敵による脅威は、ハクビシンの生活を困難にしています。
特にアライグマによって生活圏を奪われることは、ハクビシンにとっては皮肉な現実です。

これらの事情を考えると、ハクビシンが「かわいそう」と感じられるのも無理はないかもしれません。

ですが、人間に対する被害は無視できないものがあります。

ハクビシンとうまく共存できればよいのですが、現状を考えると、なかなか難しい課題になりますね。