「日々是好日」という言葉があります。

普段の生活ではあまり耳にすることがなく、その意味や読み方さえも知られていないことが多いです。

しかし、この言葉には日々の生活に対する深い教えが込められています。

この記事では、日々是好日の読み方と意味、さらに例文と類義語まで詳しく紹介しています。

日々是好日の読み方は?

「日々是好日」の読み方は、実は様々なバリエーションがあります。

一般的に正しい読み方とされているのは、「にちにちこれこうにち」です。

ですが、その他にも文脈によっていくつかの読み方があり、「にちにちこれこうにち」を含めると以下のようになります。

  • にちにちこれこうにち:日本語の禅語としての正しい読み方とされています
  • にちにちこれこうじつ:この読み方も一般的に使用されています
  • ひびこれこうじつ:作品名などに使用されることがあります
  • ひびこれこうにち:この読み方も存在します
  • ひびこれよきひ:ラジオ番組のタイトルなどに使用されることがあります

ちなみに、森下典子さんのエッセイで映画化もされた「日日是好日」は「にちにちこれこうじつ」を使っています。

日々是好日の意味は?

「日々是好日」という言葉は、禅の教えに由来する深い意味を持つ言葉です。

直訳すると、「毎日が良い日である」という意味になります。

シンプルな表現ですが、背後にはさらに大きな教えが隠されています。

日々是好日は、日々の生活の中で起こるさまざまな出来事に対して、いかに心を持って向き合うかを示唆しています。
つまり、外界の出来事が良いか悪いかに関わらず、それを受け入れ、自分の心の持ち方一つで、毎日を良い日とすることができるという教えです。

また、常に今この瞬間に集中し、過去や未来に囚われず、現在を大切に生きることの重要性を教えています。
日々の小さな幸せを見つけ、それを大切にすることで、人生を豊かにするという考え方です。

日々是好日は、私たちに対して、日々の生活の中で起こる出来事に対して一喜一憂せず、どんな状況でも心穏やかに、そして前向きに生きることの大切さを教えてくれます。

毎日が良い日であるというのは、外部の状況に左右されず、自分の心の在り方一つで決まるという、深い禅の教えが込められているのです。

日々是好日の由来は?

「日々是好日」の由来は、禅の世界に深く根ざしています。

特に唐末の禅僧、雲門文偃(うんもんぶんえん)によって広められました。

雲門文偃は、禅の教えを伝える中でこの言葉を使い、その教えが「雲門広録」という文献に記され、さらに「碧巌録」という禅の公案集にも収められたことで広く知られるようになりました。

碧巌録に次のようなエピソードがあります。

ある日、雲門文偃は弟子たちに向かって、「これまでのことは尋ねない。しかし、これからの十五日後にどうすべきか、答えてみなさい」と問いかけました。

この問いは、未来に対する不確実性や不安を示唆するものでした。

弟子たちが答えを見つけられない中、雲門文偃自身が「日日是好日」と答えました。

この答えは、どんな日も、その瞬間を全力で生きれば、それは「好日」になるという教えを含んでいます。

つまり、未来に対する不安や過去の後悔に囚われず、現在の瞬間を大切に生きることの重要性を示しています。

このエピソードからも分かるように、日々是好日という言葉は、今でも人生を送るうえて大切な教訓になっているというわけです。

日々是好日の使い方を例文でご紹介!

「日々是好日」の使い方を、以下の3つの例文でご紹介します。

普段あまり使うことはないかもしれませんが、毎日の生活を送るうえでとても示唆に富んだ言葉なので、使い方を知っておくと便利だと思います。

仕事で失敗した友人に「日々是好日」と伝え、毎日が新しいチャンスだと励ました。
公園で遊ぶ子供たちを見て、「日々是好日」と感じ、今を楽しむ大切さを実感した。
試験に落ちても「日々是好日」と自分に言い聞かせ、前向きな気持ちで次に備えた。



以上の例文のように、「日々是好日」は、毎日を価値あるものと捉え、前向きな心持ちを保つための言葉として活用されます。

日々是好日の類義語をご紹介!

次に、「日々是好日」に似た意味を持つを3つの表現を紹介します。

  • 一期一会(いちごいちえ):一度きりの出会いを大切にするという意味で、日々是好日と同様に毎日の瞬間瞬間を大切にする心を表します
  • 花鳥風月(かちょうふうげつ):自然の美しさを愛でるという意味ですが、日々の小さな美しさを見つけ、それを楽しむという点で日々是好日と似た感覚を持っています
  • 無常(むじょう):すべてのものが常に変化し続けるという仏教の教えで、日々是好日と同様に現在の瞬間を大切にし、変化を受け入れる心の在り方を示唆しています。

まとめ

「日々是好日」という言葉は、日常生活の中での心の持ち方を教えてくれますね。

最近は、リラックスの方法としてマインドフルネス(mindfulness)が注目されていますが、日々是好日を始めとする仏教の教えが由来となっています。

価値観が多様化した現代においても、人々が求めるものは平穏な心の在り方で、世界中どこでも共通するテーマなのでしょう。

日々是好日を意識し、日々の生活がより豊かで意味のあるものにしたいですね。