トラウマという言葉をよく聞くことがあると思います。

元々は心理学用語ですが、現在は日常会話でも普通に使われますね。

私たちの心に深い影響を与える体験を指すことが多いですが、その語源はどこから来ているのでしょうか。

この記事では、トラウマの語源について詳しく説明すると共に、その使い方も紹介しています。

トラウマの語源は?

元々、トラウマと言葉はギリシャ語で「傷」という意味を持っていたようです。

ギリシャ語では「τραύμα」と表記されます。

「傷」というシンプルな意味から、トラウマは時間を経て、さまざまな文化や言語を通じて変化していきました。

その重要な転機が、20世紀初頭に訪れます。
かの有名な心理学者フロイトが登場し、この言葉に新たな意味を与えたのです。

フロイトは、物理的な傷が心に残る後遺症を引き起こすことに着目し、心理的な傷も同様に深い影響を及ぼすという考えを提唱しました。
彼のこの洞察は、心理学の世界に大きな影響を与えました。

フロイトが活躍したのはドイツ語圏です。
トラウマは、ドイツ語で「Trauma」と表記されます。
なお、英語の綴りも同じで「Trauma」となります。

フロイトの著作や理論が広まるにつれ、トラウマという言葉もドイツ語圏に広がり、その後、世界中に知られるようになりました。

そして、この言葉は日本にも伝わり、現代では精神的な傷や心の深いダメージを指す言葉として使われるようになったというわけです。

このように、トラウマという言葉は、ギリシャ語からドイツ語を経て、世界中に広がり、その意味も変化してきました。

フロイトの心理学的な洞察が加わることで、単なる「傷」から、心の深い部分に影響を与える経験を指す言葉へと進化したというわけです。

虎と馬は誤解です!

「トラウマ」という言葉を聞くと、時々「虎」と「馬」という漢字を思い浮かべる方もいるかもしれません。

日本語で「トラ」と「ウマ」は、それぞれ「虎」と「馬」を意味しますね。

しかし、トラウマは、虎と馬とは全く関係がないようです。
虎と馬がトラウマと関連付けられることがありますが、これは単に日本語の発音が似ているために生じた誤解です。

虎と馬が重要な意味を持つという説もありますが、そこに確固とした論拠はありません。

このような誤解は、言葉の発音が似ていることから生じることがありますが、実際の意味とは異なるため、注意が必要ですね。

トラウマの意味は?

トラウマは、「心的外傷」と呼ばれることもあります。

その意味するところは、心に深い傷を残すような過度のストレスやショックから生じる心的な傷のことです。

例えば、大きな交通事故に遭遇した人は、その後も車の音を聞くだけで不安になることがあります。
また、自然災害や虐待にあった経験者は、似たような状況に遭遇すると、過去の恐怖が蘇ることがあります。

トラウマは、その人の日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
例えば、不安や抑うつ、パニック発作などの心的健康問題を引き起こすことがあります。

また、トラウマは個々の経験に基づいており、同じ出来事を経験しても、人によってトラウマとなるかどうかは異なります。
これは、その人がどのように感じ、理解し、反応するかによって決まるため、トラウマの経験は非常に個人的なものとなるためです。

トラウマは、私たちの心の健康にとって重要な要素であり、自分自身や他人を理解する上で欠かせないものです。
トラウマを持つ人々をサポートするためには、その経験を理解し、適切な対応をすることが大切になりますね。

ちなみに、フロイトと共に「心理学の三大巨頭」と呼ばれるアドラーは、トラウマを明確に否定しています。
アドラーがどのように考えていたのかについては、また別の機会にお話ししたいと思います。

トラウマの使い方をご紹介!

最近は、日常会話でもトラウマという言葉はよく使われますね。

ここでは、使い方として、5つの例文をご紹介します。

  • 私は幼い頃の病院での体験がトラウマとなり、今でも医者を避けがちです
  • 彼は昔の事故がトラウマになり、車の運転ができなくなった
  • あの失敗がトラウマとなって、彼女は再び挑戦する勇気が持てない
  • 彼は過去の失恋がトラウマで、新しい恋に踏み出せないでいる
  • 子供の頃の虐めがトラウマになり、人間関係を築くのが苦手な人が増えている

これらの例文は、日常生活の中で「トラウマ」という言葉がどのように使われるかを示しています。

トラウマは、過去のネガティブな体験が現在に影響を及ぼしている状態を表す際に用いられます。

まとめ

トラウマの語源は古代ギリシャ語の「傷」に由来し、フロイトによって新たな意味が与えられるようになりました。

日常会話においても、トラウマは過去の辛い経験や恐怖が現在の行動や感情に影響を与える状態を表現する際に用いられます。

また、日本語の虎と馬に関係するという話は誤解です。
語呂が合っているので、面白い発想ではありますが、残念ながら何の関係もないようです。

トラウマは現在では、その使い方も多様化しています。
今後も言葉の意味が少しずつ変化していくかもしれませんが、状況に応じて使い分けできるようにしたいですね。