こんな疑問を抱いたことはありませんか。

  • 「今週の土曜日までに取りに来てください」は、土曜日を含むのか?
  • 「提出期限は8月8日までです」は、8月8日を含むのか?

「土曜日まで」とか「8日まで」という期限が付いた場合、その「土曜日」や「8日」を含むのか、含まないのか?

一度覚えてしまえば簡単なことなのですが、改めて聞かれると意外と混乱するのではないでしょうか。

今回は、「○○までに」という場合、「○○」は含まれるのかどうかについて説明していきます。

「までに」とは?

原則として、「○○までに」という期限を示された場合は、その「○○」の時を含みます。

したがって、「土曜日までに」と言われたときは、土曜日を含み、日曜日になる前の土曜日いっぱいまでの範囲となります。

「8月8日までに」というときも、8月8日を含み、その翌日の8月9日になる前の8月8日いっぱいまでが範囲となります。

特に法律や行政上の手続き、あるいはビジネスのシーンでは、これが基本となります。

よく物理的な距離を思い浮かべれば、理解しやすいと言われます。

例えば、タクシーで行き先を伝えるとき、「東京駅までお願いします」と言えば、東京駅が目的地となり、「まで」に東京駅が含まれますよね。

電車でのアナウンスなどでも、「この列車は立川駅まで各駅に止まります」と知らされると、停車する駅の範囲に立川駅が含まれ、立川駅まで各駅停車になりますね。

このように、物理的な距離の範囲と同じように考えれば、覚えやすいということです。

時間の範囲も全く同じことになります。

ただし、業務上、○○までという期日が定められても、その期日いっぱいの時間までとなると、不都合が生じることもあり得ます。

原則をつらぬくと、示された期日の午後12時までがタイムリミットとなりますが、さすがに午後12時まで受け付け可能とするのは、合理的でない場合があります。

例えば、会社で上司や同僚に「明日までに資料をまとめて渡してくれ」と言われたら、翌日の午後12時までに資料を渡せば大丈夫とはならないでしょう。

常識的に考えて、翌日の会社の営業時間内に提出しなければならないはずです。

会社の慣習によって異なるでしょうが、ある程度目安の時間というのは決まっているものです。

ハッキリとした期限が分からないのであれば、無用なトラブルを避けるためにも、時間の取り決めをした方がよいですね。

また、行政上の手続きなども、期日が定められている場合があります。

この場合は、行政庁などで受付時間が示されているのが通常なので、しっかりと確認する必要がありますね。

「期間」とは?

「○○まで」は以上説明したとおり、原則として「○○」の部分を含みます。

では、「3日間」や「3ヶ月間」あるいは「1年間」という期間が付いた場合は、いつまで含まれるのでしょうか。

期間が示された場合も、改めて問われると混乱するのではないかと思います。
なので、期間についてもこの記事で簡単に触れておきます。

期間の場合は、基本的に、民法140条の「初日不算入の原則」が適用されます。

法律に詳しい方はご存じでしょう。
大学の民法の講義などでも、必ず出てくるテーマですね。

初日不算入の原則というのは、名前のとおり、初日を含めないで計算するということです。

例えば、8月8日に「今から3日間」という取り決めがあったなら、8月8日は初日なので起算点とはなりません。
この場合は、その翌日の8月9日が起算点となり、8月9日から3日目の8月11日の午後12時が終点となります。

「週間」も同じですが、この場合は、いったん日に換算して計算します。
1週=7日に換算するということです。

したがって、8月8日に「今から2週間」という場合は、2週間=14日間なので、8月9日から14日目の8月22日の午後12時がタイムリミットとなります。

続いて、「月間」と「年間」の場合ですが。
これらの場合は、日には換算せずに、暦にしたがって計算し、起算日に応当する日の前日が満了日となります。

ちょっと分かりにくいですね(汗)

1ヶ月は30日だったり、31日あったりと、その月ごとに違います。
そのため、日に換算して計算しても、ほとんど意味がありません。
ひとまとめに月を単位にした方が分かりやすいということです。

例えば、8月8日に「今から3ヶ月間」とした場合は、その翌日の8月9日が起算日となるのは変わりありません。
ですが、終点は、8月9日の応当日となる11月9日の前日の11月8日の午後12時、ということになります。

このように、日、週、月、年の期間は、初日は含めないのが原則です。

では、なぜ、このような初日不算入の原則があるのかというと。

例えば、8月8日の午後3時の時点で「今から○○日間」という契約をした場合、8月8日という初日を含めてしまうと、8月8日の午前中という過去の時間まで契約上の責任が発生してしまいますよね。
さすがに、これは意味のない取り決めで、当事者間の一方が不利益を被ることになりかねません。

そのため、初日を参入しないという原則が定められたというわけです。

ただし、初日不算入の原則にも例外があります。
午前0時から始まる期間は、初日も算入されるというものです。

この場合は、初日は24時間あり、不都合なことは起らないので、初日が含まれるという取り扱いになりました。

例えば、8月8日に「8月10日から1週間本を貸す」という約束をした場合は、8月10日の初日が起算日となり、そこから7日目の8月16日の午後12時が期間満了となります。


以上の期間に関する規定は、民法で定められています。

ただ、当然ですが、当事者間で期日に関する契約や取り決めをした場合は、そちらが優先されます。
この場合も、後にトラブルとならないように、日付はしっかりと確認しておく必要がありますね。