カミムスビ神の概略
「神産巣日」と書いて、「カミムスビ」と読みます。
造化三神の一神で、タカミムスビ神と同一神格であると考えられています。
タカミムスビ神と同じように、カミムスビ神もその活動に関する記述が少なからず存在します。
ただし、タカミムスビ神は高天原の統治と深い関わりがありますが、カミムスビ神は出雲地方と結び付けられ、特に大国主命(オオクニヌシノミコト)と深い関係にあります。
例えば、古事記には、大国主命が彼の兄弟の神々に騙されて殺害されたときに、
ここにその御祖の命哭き患へて、天にまゐ上りて、神産巣日の命に請したまふ時に、
とあり、大国主命の母親の願いを受け、彼を生き返らせています。
また、大国主命と一緒に旅をすることになる少名毘古那神(スクナヒコナ)神は、カミムスビ神の息子で、同じく古事記に神産巣日神の手の股からこぼれ落ちた子供であるという記述があります。
さらに、「出雲国風土記」には、大国主命の宮殿となる出雲大社を建造するときに、カミムスビ神の天上の宮殿を参考にして造営したとあります。
記紀神話でも、大国主命がカミムスビ神の宮殿を敬う姿勢が随所に見られます。
以上のように、カミムスビ神と大国主命は深い関係があることはよく分かります。
いわば、大国主命の母親的な役割をしているとも考えられますね。
もともと、定説として「出雲国風土」では御祖の命と呼ばれ、出雲の神々の祖であり母なる神とされています。
そこから察するに、カンムスビ神は地母神的な性格を備えていると言えるでしょう。
カミムスビ神を祀る神社
タカミムスビ神の解説で述べた通り、カミムスビ神とタカミムスビ神を一緒に祀る神社が多いですが、タカミムスビ神同様、その数はあまり多くありません。
- 出雲大社
- 安達太良神社
- 東京大神宮
- 八所神社
など。