「大は小を兼ねる」という慣用句があります。
一口に言えば、大きいものは小さいものより良いという意味です。
この記事では、「大は小を兼ねる」の意味と由来、例文から類語や英語表現まで詳しく紹介しています。
大は小を兼ねるの意味は?
「大は小を兼ねる」は「だいはしょうをかねる」と読みます。
大きなものや広いものが、小さなものや狭い範囲のものの役割も果たすことができるという意味です。
逆に、小さなものは大きなもの代わりにはならないという意味合いも含んでいます。
ここでの「大」は、物理的に大きいものを指し、「小」はその逆の小さいものを指します。
また「兼ねる」という言葉は、一つのものや一人の人が複数の機能や役割を持つことを意味します。
したがって、大きなものは小さなものが持つ機能や役割を果たすことができるというのが、この表現の核心となります。
一方で、小さなものでは大きなものの代わりを務めることはできないとも言えます。
例として買い物袋を考えてみましょう。
大きな買い物袋は、小さな買い物袋に入る量の商品を楽々と入れることできます。
ですが、小さな買い物袋では、大きな買い物袋と同じ量の商品を持ち運ぶことはできません。
買い物をするときに、こういう経験をした方も多いでしょう。
もちろん、目的によってどちらがよいかは変わってくることはありますが、一般的に、大きなものが小さなものよりも多機能であり、より広範囲にわたって利用できることを示しています。
大は小を兼ねるの由来は?
「大は小を兼ねる」は、古代中国の漢の時代の学者である董仲舒が著した「春秋繁露(しゅんじゅうはんろ)」に起源を持ちます。
春秋繁露の一節に
夫已有大者、又兼小者、天下能是之、況人乎
という記述があります。
現代語に訳すと、「賢者は愚者の行動も取り入れることができるため、世の中で役立つのは賢者のみである」という意味合いになります。
賢者が愚者のような行動を取ることが可能である一方で、愚者が賢者のように振る舞うことは困難であると述べているわけです。
そして、この表現は物理的な対象にも応用され、大きなものが小さなものの機能をも担うことができるという解釈へと発展したということです。
大は小を兼ねるの例文は?
「大は小を兼ねる」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 大は小を兼ねるというように、企業の大型トラックは、小荷物の配送から大型機械の輸送まで幅広く対応できる。
- キャンプ用品を選ぶ際、大は小を兼ねると考え、人数が増えても泊まれるように、少し大きめのテントを選んだ。
- 大きな水筒を購入したが、日常的に持ち歩くにはかさばりすぎてしまい、大は小を兼ねるとは限らないことを痛感した。
- 大容量のバックアップシステムは、日々の小さなデータ保護から災害時の大量データ復旧まで対応し、大は小を兼ねるの実践例となっている。
- 多機能トイレの設置によって、車椅子を使用する人から、小さな子どもを連れた親、さらには一時的に身体が不自由な人まで、幅広いニーズに応えることができる。バリアフリーの観点からも大は小を兼ねるの良い例と言える。
大は小を兼ねるの類義語は?
「大は小を兼ねる」の類義語として、以下の2つの表現を紹介します。
大は小を叶える(だいはしょうをかなえる)
「大は小を兼ねる」とほぼ同義です。
大きなものが小さなものの機能や役割を果たすことができるという意味です。
大きな物は細う使われる(おおきなものはほそうつかわれる)
こちらも、「大は小を兼ねる」とほぼ同じ意味です。
大きなものが細かい用途にも対応できることを指し、大きなものの汎用性と柔軟性を強調する際に用いられます。
「大は小を兼ねる」よりも、より具体的な文脈で使われます。
大は小を兼ねるの対義語は?
「大は小を兼ねる」の対義語を、以下に3つ紹介します。
長持枕にならず(ながもちまくらにならず)
大きなものが必ずしも小さなものの代わりにはなれないという意味を持ちます。
具体的には、大きな長持(古い時代の収納箱)が、枕としての機能を果たすことはできないということから、大きなものが細かい用途には適さないことを示しています。
材大なれば用を為し難し(ざいだいなればようをなしがたし)
「大きな材料は使い道が難しい」という意味で、大きなものがそのサイズゆえに特定の用途には不向きであることを表しています。
大きさがあるために、より繊細で細かい作業には不適合であることを伝えています。
杓子は耳掻きにならず(しゃくしはみみかきにならず)
こちらも、大きなものが小さなものの代わりになれないことを示しています。
杓子(しゃくし)は液体をすくうための道具であり、その大きさから耳掻きとしての機能は果たせないということから、物の大きさや形状がその用途を限定することを意味しています。
大は小を兼ねるの英語表現は?
「大は小を兼ねる」の英語表現として、以下の3つを紹介します。
The greater embraces the less
文字通り「大きなものが小さなものを包含する」という意味で、大きなものが小さなものの機能や役割を含み、それを超えることができるという概念を表しています。
The greater serves for the lesser
「大きなものが小さなものに役立つ」という意味で、大きなものが小さなものの用途にも適していることを示しています。
Store is no sore
直訳すると「蓄えは苦痛ではない」となり、たくさん持っていることが不便や問題にならないという意味です。
大きなものを持っていれば小さなニーズにも対応でき、余分なものがあってもそれが問題にならないという考えを示しています。
以上の表現は、それぞれ異なるニュアンスで「大は小を兼ねる」を英語で表現しており、文脈に応じて選択することができます。
まとめ
「大は小を兼ねる」とは、大きなものが小さなものの機能や用途も果たすことができるという意味です。
日常生活において、大きなものが便利な場面はよくありますね。
ただし、場合によっては大きすぎることが不便をもたらすこともあります。
古いことわざとして対義語もあるので、昔からそのような考えがあったことが伺えます。
普段の生活で、用途に応じて大きいものや小さいものを適切に選び、使いこなせるようにしたいですね。