「栴檀は双葉より芳し」ということわざがあります。
大物になるような人物は、子供のときから優れた素質を見せるという意味です。
普段はあまり用いることのない表現かもしれませんが、知っておくと特定の場面で使うことができるので、便利だと思います。
この記事では、「栴檀は双葉より芳し」の意味と由来、例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
栴檀は双葉より芳しの意味は?
「栴檀は双葉より芳し」は「せんだんはふたばよりかんばし」と読みます。
栴檀(せんだん)という木が、若葉の時からすでに良い香りを放つことから、「才能や価値は、若いうちからその兆しを見せるものだ」という意味を持ちます。
つまり、人の才能や素質は早い段階から現れるということを表しています。
栴檀は双葉より芳しの由来は?
「栴檀は双葉より芳し」の由来はハッキリしたことは分かっていないようです。
ただ、「平家物語」に
「栴檀は二葉より百囲に馥(かうば)し」
「栴檀は二葉より芳しとこそ見えたれ」
という記述があり、鎌倉時代には知られていた表現と考えられます。
「栴檀」とは、またの名を「白檀(びゃくだん)」とも言い、若葉の時期からすでに豊かな香りを発することで知られる香木です。
この白檀が幼い時から放つ香りの特性を、早くから際立つ才能や素質を持つ人物に例え、「幼少期から非凡な才能を示す人物がいる」という意味合いで引用されるようになりました。
白檀は元々は日本原産の植物ではなく、仏教の伝来と共に中国経由で日本にもたらされたものです。
その香り高い特性から、仏像や数珠、扇子の柄、線香などの仏具製造に利用されてきたという経緯があります。
栴檀は双葉より芳しの使い方は?
「栴檀は双葉より芳し」の使い方として、例文を5つ紹介します。
- 栴檀は双葉より芳しというように、彼は若くして数々の文学賞を受賞し、その才能を世に示した。
- 彼女のピアノ演奏は、小学生の時から人々を魅了していた。その美しい旋律は、栴檀は双葉より芳しと称賛されるにふさわしい。
- 若き日の彼の発明は、その後の科学界に大きな影響を与えた。栴檀は双葉より芳しという言葉がぴったりの早熟な天才だった。
- 彼女の絵の才能は、幼いころから際立っていた。まさに栴檀は双葉より芳しと言えるほど、若くしてその才能を発揮していた。
- 栴檀は双葉より芳しと言われるが、生まれ持った才能があっても、それを磨き上げる努力をしなければ、自身の真価を世に示すことはできないだろう。
栴檀は双葉より芳しの類義語は?
「栴檀は双葉より芳し」とよく似た意味を持つ表現として、次の3つを紹介します。
実のなる梢は花より知らる(みのなるこずえは はなよりしらる)
木が実をつけるかどうかは、花が咲いた時点で予測できるという意味です。
比喩的に、人の才能や将来性は、初期の段階での兆候から判断できることを示しています。
蛇は寸にして人を呑む(じゃはすんにしてひとをのむ)
小さな蛇でも人を呑む気配があるという意味から、才能や能力は、その存在が小さい時から明らかであることを表します。
つまり、大きな能力や影響力は、初期の段階からその兆しを見せるということです。
啄木鳥の子は卵から頷く(きつつきのこはたまごからうなずく)
啄木鳥の子が卵の中から頷くということから、生まれながらにして特定の能力や特性を持っていることを意味します。
生まれ持った才能や素質が、早い段階から明らかになることを示しています。
栴檀は双葉より芳しの対義語は?
「栴檀は双葉より芳し」の対義語としては、「大器晩成(たいきばんせい)」が最もふさわしいでしょう。
大きな才能や能力を持つ人も、その真価を発揮するには時間がかかることがあるという意味です。
直訳すると「大きな器は遅く成る」となり、すなわち、大きな才能や大成する人物は、その成長や成功が見えるようになるまでに長い時間が必要であることを示しています。
すぐに結果が出ない人でも、根気強く努力を続ければ、やがて大きな成果を達成できるという希望や励ましのメッセージも含んでいます。
まとめ
「栴檀は双葉より芳し」とは、若い頃から優れた才能や素質を持っていることを意味します。
日常で頻繁に使われるわけではありませんが、その背景を知ることは、言葉の豊かさを理解する上で有益です。
また、大人物になるような人は、幼少期から際立った才能を見せることが多いのは確かでしょう。
ですが、どんなに優れた才能があっても、それを伸ばし続けるための努力は不可欠です。
努力によって、さらなる才能が花開くこともあるので、日々精進していくことが大切ですね。