「五里霧中」という四字熟語があります。
日常会話ではあまり使わないかもしれませんが、文学作品などではよく見かける表現です。
この記事では、五里霧中の意味と使い方について詳しく説明しています。
特に、五里霧中の言葉の成り立ちは誤解されていることが多いので、その由来を知ると面白いと思います。
ぜひ、参考にしてください!
五里霧中の意味は?
「五里霧中」は「ごりむちゅう」と読みます。
その意味するところは、物事の状況や手がかりがつかめず、どのように進めば良いか見通しが立たない状態を表します。
日本では、一里は約4キロに相当します。
つまり、文字通りには「五里(約20km)にも及ぶ深い霧の中」という意味から来ているということです。
ただし、一里は国によって何キロになるかは異なります。
日本では五里は約20kmになりますが、五里の霧というのは、あくまで「深い霧」という比喩的な表現です。
ともあれ、このような状況では、前後左右がまったく見えなくなり、方向感覚を失ってしまいますよね。
そこから、物事の見通しが立たず、どう行動すれば良いのか迷う状態を指します。
また勘違いしやすいですが、五里霧中は、「五里」+「霧中」ではなく、「五里霧」+「中」から成り立っています。
現在でも、日常生活やビジネスの場面で、混乱や不確実性の中で方針が定まらず、手探りで進むような状況を「五里霧中」と表現することがあります。
五里霧中の由来は?
「五里霧中(ごりむちゅう)」の由来は、中国後漢時代の故事に基づいています。
この言葉は、後漢の時代(紀元25年~220年)に活躍した儒学者、張楷(ちょうかい)に関連しています。
張楷は、彼の評判を聞きつけた人々から官吏(かんり)になるよう何度も誘われましたが、彼はこれを拒否し、山中に隠居しました。
隠居後も、張楷は自分が気に入らない人々とは会おうとしませんでした。
彼は生まれながらに道術を好み、不快な人が訪ねてくると、五里四方に及ぶ霧を発生させて自分を隠したと言われています。
この霧は「五里霧」と呼ばれ、その中にいる状態を「五里霧中」と表現するようになりました。
五里霧中が「五里霧」+「中」で出来ているというのは、このエピソードから来ています。
この故事は、中国の歴史書『後漢書』の「張楷伝」に記されており、そこから五里霧中という言葉が生まれたとされています。
当時の中国での一里は約400メートルとされ、五里霧は約2キロメートル四方にも及んだと言われています。
この深い霧の中では、前後左右が全く見えず、方角も分からない状態だったことから、現在のような意味で使われるようになりました。
五里霧中の使い方は?
続いて、五里霧中の使い方として、5つの例文を紹介します。
この例文では、夫の突然の決断により、予期せぬ状況に直面し、どう対応すればよいかわからない状態を五里霧中と表現しています。
未経験の仕事を任され、進め方が見えず迷っている様子を表しています。
急な事態に対応しなければならず、どう進めばよいかわからない状況を五里霧中と述べています。
長期間の混乱や不確実性の後、ようやく方向性が見え始めた状況を表しています。
長期にわたる捜査が進展せず、真相が見えない状況を「五里霧中」としています。
これらの例文で「五里霧中」の使い方が、ある程度分かるかなと思います。
参考になれば幸いです。
五里霧中の類義語は?
次に、五里霧中の類語をいくつか紹介します。
- 暗中模索(あんちゅうもさく):目的や方向がはっきりしない中で、手探りで進むこと
- 手詰まり:進むべき道や手段が見つからず、行き詰まってしまう状態
- 行き詰まり:解決策や進むべき道が見つからず、進めなくなること
- 立ち往生:物事が進まず、その場に留まってしまう状態
- 八方塞がり(はっぽうふさがり):どの方向に進んでも出口や解決策が見つからず、進退窮まる状態
これらの言葉は、いずれも方針や解決策が見えず、進めない状況を表すのに使われます。
まとめ
五里霧中は、物事の見通しが立たず、どう行動すれば良いか迷う状態を表す言葉です。
中国後漢時代の故事に由来し、現代でも混乱や不確実性の中で方針が定まらない状況を表現するのに用いられます。
この記事を通じて、五里霧中の意味とその背景を理解し、日常やビジネスシーンで適切な使い方ができるようになれば幸いです。