毎年、節分の日に豆まきをするのは、日本の伝統的な行事ですね。
ですが、一説によると、豆まきをしてはいけないお家もあるそうな…
どういうことなんでしょうか?
実は、これは、「豆まきをしてはいけない」ではなく、「豆まきをしなくてもよい」というのが正確なようです。
それでも、なぜ豆まきをしなくてもよいのかという謎が残りますね。
この記事では、豆まきをしなくてもよい苗字とその理由、豆まきの由来や豆まきをしない地域についても、詳しく紹介いたします。
豆まきをしてはいけない苗字とは?
冒頭で述べたとおり、正確には、節分の日に豆まきをしなくても良いとされる苗字です。
その苗字とは
- 渡辺(ワタナベ)さん
- 坂田(サカタ)さん
となります。
この二つの苗字は、歴史的な背景に基づいて、豆まきを行う必要がないとされています。
また、これらの苗字にはいくつかの漢字のバリエーションがあり、それらについても同様の考えが当てはまるようです。
例えば、「ワタナベ」には「渡辺」以外にも「渡部」「渡邊」「渡邉」があり、「サカタ」には「酒田」「阪田」が含まれます。
なぜ豆まきをしてはいけないのか?
では、なぜ渡辺さんと坂田さんは、節分に豆まきをしなくてもよいのでしょうか?
以下に詳しく説明しますね。
「渡辺」と「坂田」姓の人々が節分の豆まきを行わなくても良いとされる理由は、日本の歴史と伝説が深く関わっています。
この風習は、平安時代の武人、源頼光の家臣であった渡辺綱と坂田金時の逸話に由来しています。
両人は、鬼退治の英雄として知られ、特に渡辺綱は京都の一条戻橋で鬼の腕を切り落としたという伝説を持っています。
また、彼らの子孫は「滝口の武士」として宮中の警護を行ったり、瀬戸内海の水軍の棟梁として活躍したりしました。
渡辺綱の鬼退治は結構有名な話だと思います。
大江山の酒呑童子退治などはご存じの方も多いでしょう。
また、坂田金時は、幼名「金太郎」としても知られ、その物語は江戸時代に広く人気を博しました。
こちらも広く知られているとおり、童話の金太郎のモデルとなった人物ですね。
そして、これらの逸話により、渡辺と坂田の姓を持つ者は鬼に恐れられるとされ、豆まきを行う必要がないという風習が生まれたというわけです。
ですが、この風習自体は広く知られているわけではなく、多くの渡辺さんや坂田さんの家庭では普通に豆まきを行っています😅
しかも、この風習に関する文献は少なく、主に雑学的な知識としてテレビ番組やインターネットで紹介されている程度です。
あくまで、豆知識、トリビアとして楽しむのがよさそうですね。
豆まきをしない地域もある?
さらに、節分に豆まきをしない地域もあるようです。
その一つとして、静岡県富士宮市の内野や足形地区が挙げられます。
静岡県富士宮市では、昔から「鬼がいない」という伝説があり、そのため豆まきを行わないという風習があります。
この伝説は次のようなものです。
ある日、次兵衛という人物が夜に歩いていると、橋に鬼が立っていました。
次兵衛は恐怖を感じ、持っていた鉄砲で鬼を撃ち、家に逃げ帰りました。
撃たれた鬼は、痛みに苦しみながら近くのお寺に助けを求め、和尚から薬をもらいました。
しかし、その薬は実は火薬で、塗った瞬間に鬼は爆発して消えてしまったとされています。
このような伝説があるため、富士宮市の内野や足形地区では、節分の日に豆まきを行う習慣がありません。
鬼はすでに退治された存在であり、豆まきをする必要がないと考えられているわけですね。
ただし、富士宮市内で全く豆まきをしないかというと、そうではなく、例えば神社などで節分祭の豆まきの行事は普通に行われることがあります。
なぜ豆まきをするの?その由来とは?
最後に、なぜ豆まきをするのかについて、その理由や由来を簡単に紹介いたします。
豆まきの由来は、室町時代にさかのぼります。
元々は中国から伝わった「追儺(ついな)」という行事が起源とされています。
これは、身分の高い貴族が鬼役の家来たちを追いかけるという、宮中で行われる鬼払いの儀式でした。
時が流れ、この行事は庶民の間にも広がり、「豆まき」という形に変わっていきました。
節分の日、2月3日に豆まきをする理由は、立春の前日、つまり新年を迎える前に邪気や魔物を払い、幸運をもたらすためです。
古くから日本には、穀物をまくことでお祓いや清めをする風習がありました。
大豆は五穀の一つで、その大きさと、床や壁にぶつけた時の音が大きいため、邪気を祓うのに適していたと言われています。
また、「魔物の目をめがけて豆を投げれば、魔を滅ぼす」という言葉遊びから、「魔滅(まめ)」という言葉と豆(まめ)をかけて、豆が魔滅に通じるとされています。
豆まきの際には、家の玄関や窓を開け、「鬼は外!福は内!」と言いながら豆をまきますよね。
これは、鬼(悪いもの)を外に追い出し、福(良いもの)を家の中に招き入れる意味があります。
豆まきが終わった後には、自分の年齢の数より1個多く豆を食べることで、その年の健康や幸福を願います。
このように、豆まきは単なる風習ではなく、新年を迎えるにあたっての厄払いや幸運を願う深い意味が込められています。
まとめ
節分の豆まきは、日本の伝統的な行事として広く親しまれています。
しかし、渡辺さんや坂田さんのように、豆まきをしなくても良いとされる苗字があること、また、静岡県富士宮市のように豆まきを行わない地域も存在することは、意外なお話ですね。
これらの風習は、日本の豊かな歴史や文化の一端を示しており、地域や家系によって異なる習慣があることが、日本の多様性を物語っています。
豆まきの背景には、新年を迎えるにあたっての厄払いや幸運を願う深い意味があり、日本の伝統文化として今後も大切に受け継がれていくことでしょう。