「四面楚歌」という四字熟語があります。

古典や文学作品などでよく見かけますし、日常会話でもたまに使われることがありますね。

四面楚歌の由来は、有名な項羽の故事に基づいています。

ただ、その正確な意味については、意外と勘違いされているところがあります。

特に似たような意味を持つ語句と、ニュアンスが異なることがあるので、注意が必要となります。

この記事では、「四面楚歌」の意味と由来、例文を用いて使い方も詳しく紹介しています。

四面楚歌の意味は?

四面楚歌(しめんそか)は、周りが敵や反対者に囲まれ、味方がいない孤立した状態を表します。

頼りにできるものがなく、自分が孤独であることを嘆く時に使われることが多い表現です。

敵が多い状態を表す言葉は多いですが、四面楚歌は特に深い絶望感を伴い、非常に困難な状況を表すときに用いられます。

四面楚歌の由来は?

「四面楚歌」の由来は、中国前漢時代の史書「史記」に記された楚国の項羽の故事に由来します。

項羽が、天下を争ったいたライバルの劉邦との戦いに敗れ、垓下という場所で劉邦率いる漢軍に囲まれていた時の話です。

ある夜、項羽は四方を囲む漢軍が楚の国の歌を歌っているのを聞きます。
この歌を聞いた項羽は、すでに漢軍が楚を占領し、多くの楚の人々が漢に降ったことを悟り、絶望しました。

このエピソードから、「四面楚歌」という言葉は、周囲が敵や反対者に囲まれ、孤立した状態を表すようになりました。

さて、ここでのポイントは、四方から楚の歌が聞こえてきたという点です。

そのため、取り囲んでいたのは楚軍と勘違いしやすいですが、実際には元々味方であった楚の兵たちが漢に寝返ったという状況になるわけです。

敵に囲まれていることに変わりないはないのですが、自分の部下や味方だった者までが敵になったので、項羽は自身が完全に孤立していると感じたのです。

意外と間違えやすいので、注意したいですね。

また、この後、項羽は別れの宴を行い、愛妾の虞美人に詩を贈ったとされています。

大学受験の漢文や古文でもよく登場するので、このエピソードも有名ですね。

四面楚歌の使い方は?

続いて、四面楚歌の使い方として、3つの例文を紹介します。

新しいプロジェクトの提案をしたが、会議での反応は冷ややかで、私は四面楚歌の状態になった。

この例文では、提案者が周囲からの支持を得られず、孤立している状況を「四面楚歌」と表現しています。

チーム内での意見の相違が激しく、キャプテンは四面楚歌の状況に立たされ、チームをまとめるのが難しくなった。

チーム内で意見が分かれ、キャプテンが孤立してしまい、チームを統率するのが困難になった状況を表現しています。

家族会議で私の意見だけが異なり、四面楚歌のような気分になった。

ここでは、家族の中で自分だけが異なる意見を持ち、孤立してしまった感覚を「四面楚歌」としています。


以上の例文は、「四面楚歌」という表現が、周囲からの支持や協力を得られずに孤立した状況を表す際にどのように使われるかを示しています。

四面楚歌の類義語は?

次に、「四面楚歌」の類義語として、以下の3つを紹介します。

  • 孤立無援(こりつむえん): 周囲に助ける者がいない、完全に孤立した状態を表す言葉です。
  • 八方塞がり(はっぽうふさがり):どの方向に進んでも行き止まりで、進む道がない状態を意味します。
  • 背水の陣(はいすいのじん):追い詰められて退路を断たれた状況を指します。

これらの類義語は、いずれも困難な状況や孤立した状態を表すのに使われます。

ただし、ここで紹介した類義語は、孤立した状態そのものを示す言葉であり、四面楚歌とは少しニュアンスが異なります。

四面楚歌は、周囲の敵対者に自分の味方がいたことから、さらに孤独を強調する表現となります。

まとめ

「四面楚歌」という故事成語は、周囲に敵や反対者が多く、孤立した状態を強く表現する言葉です。

由来は項羽の故事に基づき、周囲が敵に囲まれた状況を示しますが、実際には元の味方が敵になったことで孤独感が強まるという点が特徴です。

そのため、四面楚歌を使うときは、特に深い絶望感や厳しい状況を伝える際に効果的です。

また、類義語も紹介しましたが、四面楚歌とは少し異なるニュアンスを持つことも理解しておくと良いですね。