「人参で行水」という慣用句があります。

普段はあまり聞かない言葉かもしれません。

ここでの人参というのも、一般的な人参のことではありません。

また、人参を使ったことわざはいくつかありますが、それぞれ違った意味を持つので、使い分けには注意が必要になります。

この記事では、「人参で行水」の意味と由来、使い方や人参を使った別の表現も紹介しています。

人参で行水の意味は?

「人参で行水(ぎょうずい)」という言葉の意味は、病気などの治療において費用を惜しまず、可能な限りの手段を尽くすことを示す表現です。

ただし、ふさわしい場面で使わないと、意図が伝わらなかったり、失礼な印象を与えてしまうことがあります。

そのため、正しい使い方を理解することが大切になります。

人参で行水の由来は?

「人参で行水」という表現の由来は、人参が非常に価値が高く、貴重な象徴であることに基づいています。

ここでの人参は、朝鮮人参のことを指します。
別名高麗人参として知られ、漢方薬の原材料としても知られる人参ですね。

日本では古来より朝鮮人参が重宝されてきました。
正式にはオタネニンジンと呼ばれ、朝鮮半島での栽培が特に盛んであるため、朝鮮人参という名で広く知られています。

朝鮮人参は、栽培に時間がかかることで知られています。
品質の良い人参は5年以上の成長期間を要し、そのため高価なものとなっています。

38種類のサポニンを含み、体の冷えなどの問題を改善する効果があるとされています。

古くから医療に使用されてきた朝鮮人参は、高価なものだったので、一般の人々には手が届かないものでした。

「人参で行水」という表現は、そのような貴重な人参を煎じた汁を浴びるほど飲むことから、あらゆる手を尽くして病気を治療する様子を表しているというわけです。

あと、余談ですが、朝鮮人参をお茶にした「朝鮮(高麗)人参茶」は独特の苦みがあり、メーカーによってはそのままでは飲みにくいものがあります。

そんなときは、レモンとハチミツや砂糖を入れると、なかなか美味しく飲めたりします。
レモンティーのような風味ですね。

私は、朝鮮人参茶を飲むときは、レモンとハチミツを加えます。
たまにしか飲まないですが、たしなむのを楽しむことがあります。

人参で行水の使い方は?

続いて、人参で行水の使い方として、3つの例文を紹介します。

日常会話であまり使うことはないかもしれませんが、知っておくと便利です。

私が重い病気になったときは、子供たちの将来のことも考え、人参で行水すると思う。
父が心臓病で倒れたとき、私たちは専門医を訪ね、父の回復のために人参で行水した。
友人は癌との闘いにおいて、治療のためにはどんな費用も惜しまず、人参で行水した。

人参で行水と間違えやすい言葉

「人参で行水」以外にも、人参という言葉が使われていることわざがあります。

1つは、「人参飲んで首くくる」という表現。

身の丈に合わない行動を取ることで、結果的に自分自身に害を及ぼすことを意味します。

高価な朝鮮人参を手に入れることで病気が治るかもしれませんが、その代金の返済に苦しみ、自ら命を絶つような事態に陥るということです。

また、「人参よく人を活かし、よく人を殺す」という言い回しもあります。

これは、物事の成り行きが方法や使い方によって良くも悪くもなることを示しています。

朝鮮人参のような高価なものは、裕福な人にしか手にできないものでしたが、生き延びる手段として庶民も求めることがありました。

ところが、それを手に入れるために借金をしてしまい、病気が治っても返済に苦しむこともあり得ます。
「人参飲んで首くくる」と同じように、生活が行き詰まってしまって、どうにもならない状態になることもあるわけです。

この2つの表現は、「人参で行水」とは異なる意味を持っています。

「人参で行水」は、病気の治療などにおいて費用を惜しまず全力を尽くすことを意味しますが、上記の表現は、行きすぎた行動が逆に自己破滅を招くことを警告しています。

そのため、これらの表現を使う際には、その違いに注意する必要がありますね。

まとめ

「人参で行水」という慣用句は、病気の治療において費用を惜しまず全力を尽くすことを意味します。

また、人参を使った別の表現もありますが、意味が違ってくることがあります。

特に、「人参飲んで首くくる」「人参よく人を活かし、よく人を殺す」などは、過度な行動が逆に害を及ぼすことを警告する意味を持ち、「人参で行水」とは異なります。

普段はあまり使わない言葉かもしれませんが、こららの使い分けには十分に注意する必要がありますね。