日常生活で、「馬鹿」という言葉はよく使われますね。
その意味は、誰もが知っていることでしょう。
ですが、なぜ「馬」と「鹿」という二つの動物で表されるのでしょうか?
この由来については、意外と知られていないようです。
この記事では、馬鹿という言葉の意味と語源について詳しく紹介しています。
馬鹿の由来は?
「馬鹿」という言葉の由来には複数の説があり、その正確な起源ははっきりしていません。
一般的には、以下の説がよく知られています。
サンスクリット語の影響
まず1つ目は、サンスクリット語で無知を意味する「moha(慕何)」が「馬鹿」の語源となっているという説です。
この説によると、元々は僧侶たちが内輪で使っていた隠語が、後に一般に広まったとされています。
この場合、「馬鹿」という言葉は、サンスクリット語の音を模倣して作られ、後に日本語の中で独自の意味を持つようになったと考えられます。
この説は、言葉がどのように異文化から取り入れられ、変化していくかを示す興味深い例ですね。
当て字の可能性
日本語には、音に合わせて漢字を選ぶ「当て字」という習慣があります。
この習慣により、特定の言葉の音に合わせて、意味とは無関係な漢字が選ばれることがあります。
「馬鹿」という言葉も、この「当て字」の一例と考えられることがあります。
つまり、「馬」と「鹿」という漢字が選ばれたのは、その音が「バカ」という言葉に合っていたからであり、馬や鹿の動物としての特性や意味とは直接的な関連はないとされています。
全く面白味のない説ですが、実はかなり有力な説でもあります。
中国の故事が由来
中国の古い故事に基づく説もあります。
この話は、秦の始皇帝の後を継いだ胡亥の時代に起こった出来事に関連しています。
宦官の趙高が権力を握るため、忠実な臣下とそうでない者を見分けるために、鹿を馬として献上しました。
この故事が日本に伝わり、「馬鹿」という言葉に結びつけられたという説です。
ただし、この説は「馬鹿」という言葉の由来としては根拠が弱いとも言われています。
なぜなら、この故事では「馬」と「鹿」が重要な役割を果たしているものの、それが直接「馬鹿」という言葉に結びつく証拠は少ないからです。
若者という言葉から変化
「若者(wakamono)」という言葉の「w」の音が「b」に変わり、「馬鹿者」という表現が生まれたという説もあります。
この考えは、民俗学者の柳田國男氏によって記されており、彼はこれを広辞苑の編集者である新村出氏が唱えたものとしています。
以上のように、馬鹿の語源については複数の説があります。
正確なことは分かりませんが、サンスクリット語のmohaは「ポカ」と発音するそうです。
そのため、この発音から馬鹿という当て字を使ったというのは、十分に考えられますね。
馬と鹿の関係は?
馬鹿の由来については様々な説があり、どれが正解なのかはよく分かっていません。
ですが、馬と鹿は、日本の文化や神話の中で存在として扱われてきました。
単なる野生生物を超えた、神聖な意味を持つことが多いのです。
馬は、日本の神話や歴史の中で、神々の乗り物として重要な役割を果たしています。
特に、神馬(しんめ)と呼ばれる馬は、神が人間の世界にやって来る際の乗り物とされ、神聖視されています。
例えば、伊勢神宮には宮内庁から贈られた神馬がおり、毎月1日、11日、21日には正宮皇大神宮にお参りするという伝統があります。
このように、馬は神々と密接に関連しており、その存在は単なる動物以上の意味を持つのです。
また、鹿も日本の神話や文化において重要な位置を占めています。
特に奈良の鹿は「神の使い」として知られ、奈良公園に生息する鹿は、春日大社の神使とされています。
また、茨城県の鹿島神宮では、鹿を神使(しんし)として「神鹿(しんろく)」と呼び、大切に飼われています。
これらの例からも、鹿は単なる野生動物ではなく、神聖な存在として尊ばれていることがわかります。
また、日本では、馬は力強さや忠実さを象徴し、鹿は美しさや優雅さを表すことが多いです。
このような背景を考えると、日本で神聖視されてきた馬と鹿が「馬鹿」という言葉で結びつけられることは、何らかの皮肉や風刺が含まれている可能性もあります。
まとめ
「馬鹿」という言葉の由来には様々な説がありますが、サンスクリット語のmohaに日本独自の当て字が使われたというのが、最も説得力があると思います。
ただ、馬と鹿が日本の文化や神話において神聖な存在として扱われてきたので、馬鹿という言葉の成立に深く関わっていることも十分に考えられます。
馬鹿の語源ははっきりしないものの、この言葉の背後には、日本の文化や伝統の奥深さが感じられますね。