タカミムスビ神の概略
「高御産巣日」と書いて、「タカミムスビ」と読みます。
日本神話において、天地の初めに現れた造化三神の一神。
造化三神とは、アマノミナカヌシ神とタカミムスビ神、カミムスビ神の三神のことを指します。
高御産巣日の「産巣」は生産や生成を意味する言葉であり、タカミムスビ神は“生産する力”を神格化した神様です。
また、「産巣(むすび)」は「おむすび」の語源とも言われています。
アメノミナカヌシ神は、その活動に関して全く記述がなかったのに対し、タカミムスビ神は具体的な活動に関して結構な記述があります。
天孫降臨や国譲りのとき、神武天皇の東征のときなど、色々と口出しをしては関わりを持っています。
そのお決まりのパターンとしては、天照大御神と共に問題の解決を図るため、他の神々に指令を出すというものです。
例えば、古事記の上つ巻の「天照大御神と大国主命」の項では、
ここに高御産巣日神、天照大御神の命もちて、天の安の河の河原に八百万の神を神集えに集えて、重金の神に思はしめて詔りたまひしく、
とあります。
また、「邇邇芸命(ニニギノミコト)」の部分では、
ここに天照大御神高木の神の命もちて、太子正勝吾勝勝早日天の忍し穂耳に詔りたまはく、(以下略)
かれここに天照大御神高木の神の命もちて、天の宇受売の神に詔りたまはく、(以下略)
ここでの高木の神とは、タカミムスビ神のことで別称です。
さらに、タカミムスビ神の娘であるタクハタチヂヒメ神は、天照大御神の息子の天の忍し穂耳(アメノオシホミミ)神と結婚し、その間にできた御子がニニギノミコトなんです。
そのニニギノミコトの身の安全を守るために、タケミカヅチ神を大国主命に遣わして、葦原の中つ国の支配を要求したり、神武東征の際には八咫烏(ヤタガラス)を遣わすなど、かなり重要な場面での活動が目立ちます。
その行動はほぼ高天原の統治に関わっており、政治的役割が非常に大きいと言えます。
高天原の統治者は、ご存じ日本の主神である天照大御神ですが、その行動の背後にタカミムスビ神の存在が関わっていることが多く、天照大御神と一体となって、政治・催事・軍事に重要な役割を担っていると考えられます。
天地の初めに、独りでに現れた後自ら姿を隠したと古事記に記述があるにもかかわらず、後になって以上のような活発な活動をしているのは矛盾がありますね。
ここの解釈は専門家の間でも分かれますが、そもそも古事記や日本書紀の記紀神話は各地の伝承を寄せ集めた部分も少なからずあるので、タカミムスビ神も高天原の統治に関して担ぎ出されたのかもしれません。
タカミムスビ神を祀る神社
タカミムスビ神を祀る神社はあまり多くありません。
祀られる場合は、カミムスビ神と一緒に祀るというケースが多いです。
- 安達太良神社
- 東京大神宮
- 四柱神社
- 天神社
など。