「まな板の上の鯉」という表現は、どうすることもできない状況を指して使われることがあります。
日常生活でもよく用いられますが、「まな板の上の鯛」という似た表現も存在します。
さらに、「まな板の鯉」という表現もよく目にすることがあります。
これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか?
また、本来の正しい表現はどれなのでしょうか?
この記事では、「まな板の上の鯉」の意味と例文を紹介し、それに加えて「まな板の上の鯛」と「まな板の鯉」についても解説していきます。
まな板の上の鯉の意味は?
「まな板の上の鯉」という表現は、逃げることができず他人の意のままになっている状況を表します。
水から上げられ、まな板に置かれた鯉は、ただ料理される運命を静かに待つしかありません。
このような状況では、自由を失い、避けられない運命をただ受け入れるしかないですよね。
そこから、自分の運命を他人に委ねざるを得ない状態にたとえているというわけです。
まな板の上の鯛は間違い?
鯉ではなく、「まな板の上の鯛」という表現を見かけることがあります。
「まな板の上の鯉」と同じ意味で使われるようですが、実はこれは間違いです。
「魚は鯛」や「腐っても鯛」という慣用句があるので、これらと混同されたのかもしれません。
ただし、鯛が鯉よりも価値があるとされるため、誤って使われる場合には、より重要なものや人物が避けられない状況に置かれているニュアンスで使用されることがあるようです。
とはいえ、あくまで誤用なので、正しい用法として扱う際には注意が必要です。
まな板の鯉は間違い?
さらに、「まな板の鯉」という表現も使われることがあります。
こちらは、「まな板の上の鯉」と同じ意味を持ち、辞書にも載っています。
なので、間違いではなく、逃げ場がなくなった状況を示す言葉として正しい表現です。
まな板の上の鯉の類義語をご紹介
「まな板の上の鯉」の言い換え表現としては、次のようなものがあります。
- 俎板(まないた)の鯉
- 俎上(そじょう)の魚(うお)
- 俎上の鯉
先ほど述べたように、「まな板の鯉」は「まな板の上の鯉」と同じ意味です。
まな板は漢字で書くと「俎板」となります。
また、動詞として「腹をくくる」や「覚悟を決める」と言うこともできます。
まな板の上の鯉の例文をご紹介
「まな板の上の鯉」を使った例文を以下に5つ紹介します。
- 会議で自分の提案が徹底的に論破され、まな板の上の鯉のように、反論することもできす、ただ押し黙るだけだった。
- 初めての大腸カメラ検査は本当に大変で、お医者さんの指示に従い、まな板の上の鯉のようにただ耐えるしかなかった。
- この試合で劣勢が続けば、私たちのチームはまな板の上の鯉になってしまう。何としても形勢を逆転させなければならない。
- 交渉が進むにつれ、私たちはますますまな板の上の鯉のような状態に追い込まれ、相手の要求を受け入れざるを得なくなった。
- 入学試験が間近に迫っている。今さら焦っても無駄だ。まな板の上の鯉と覚悟し、運を天にまかせるしかない。
まとめ
「まな板の上の鯉」は逃げ場がない状況を示す表現で、正しく使われています。
また、「まな板の鯉」も同じ意味で使われ、誤りではありません。
一方、「まな板の上の鯛」は間違った表現です。
誤用が続けば、正しい表現となる可能性もありますが、誤った印象を与えかねません。
今の時点では、やはり使用は避けた方が無難ですね。