「何食わぬ顔(なにくわぬかお)」という言葉があります。
何も知らないような顔つきをするという意味で、ポジティブな文脈でも否定的な文脈でも使われます。
この記事では、「何食わぬ顔」の意味と使い方、類義語や英語表現まで詳しく紹介しています。
何食わぬ顔の意味は?
「何食わぬ顔」とは、自分が何も知らないかのように見せる表情や行動を指します。
通常、人が驚くべきことや問題を起こした時、その反応は顔に出やすいものです。
それにもかかわらず、何事もなかったかのように振る舞うことを指します。
良い意味でも悪い意味でも用いられますが、どちらかというと、ネガティブな文脈で使われることが多いです。
なお、「何食わぬ顔」の由来はよく分かっていないようです。
ただ、文字通りには、何かを食べた後で、まるで何も食べていないかのように見せかける様子から生まれたとされています。
何食わぬ顔の使い方をご紹介
「何食わぬ顔」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- クッキーがなくなっていることに気づいた母に対して、子供たちは何食わぬ顔をしてテレビを見続けた。
- 会議中に携帯電話が鳴ってしまったが、彼は何食わぬ顔で周りを見回し、まるで他人事のように振る舞った。
- 彼女は遅刻してきたにも関わらず、何食わぬ顔で授業に入ってきて、先生の質問にも平然と答えた。
- 彼は何キロも走ったにもかかわらず、何食わぬ顔で息ひとつ乱さず、まるで普段の散歩から戻ってきたかのような感じだった。
- 社内での失敗を指摘されたとき、実は内心動揺していたが、何食わぬ顔で「私の責任ではありません」と冷静に言い張った。
何食わぬ顔の類義語をご紹介
「何食わぬ顔」の類語としては、以下のようなものがあります。
- 知らん顔:問題や事実について知っているにも関わらず、知らないふりをすること
- すました顔:何でもないという表情、何の問題もないかのように振る舞う様子
- 涼しい顔:自分にも関係があるのに、無関係であるかのように振る舞う様子
- しれっとした顔:何らかの事柄に関係があるのに、当事者ではないような態度を取ること
- 素知らぬ顔(そしらぬかお):自分には関係ないかのように、何も知らないふりをしている表情や態度
全て「○○顔」という表現ですが、「すました様子」「素知らぬふり」というように、顔を「様子」や「ふり」と言い換えることもできます。
何食わぬ顔の対義語をご紹介
「何食わぬ顔」の直接的な対義語はないようです。
あえて、反対の意味に近い言葉を考えると、落ち着きをなくしている状態を示す表現になるでしょう。
- 取り乱す
- うろたえる
- 慌てふためく
- 平静を失う
- 狼狽(ろうばい)する
- パニクる
- 目を白黒させる
- 挙動不審になる
といった表現があげられます。
また、動揺や心配事が「顔に表れる」とそのまま表現することもできます。
会話ではあまり使わないかもしれませんが、特定の場面で「罪悪感に満ちた顔」や「顔に悔恨の色が表れる」といった表現も考えられます。
何食わぬ顔の英語表現をご紹介
「何食わぬ顔」の英語表現としては、“poker face”や“innocent look” があげられます。
特にpoker faceは、日本語でもそのまま「ポーカーフェイス」と表現することがありますね。
また、innocent lookは、completely加えて、“completely innocent look”とすると、より無表情な様子を強調することができます。
例文をあげると
(秘密を知っていながらも、彼は会話中ずっと何食わぬ顔をしていた。)
Even after breaking the vase, she faced her parents with a completely innocent look, as if nothing had happened.
(花瓶を壊した後でも、彼女は何事もなかったように何食わぬ顔で両親に向き合った)
となります。
まとめ
「何食わぬ顔」とは、自分が何も知らないかのように、または何も起こっていないかのように見せる表情や態度を指します。
良い意味でも悪い意味でも用いられますが、特に悪いことをした後に平然としている人に対してよく使われます。
理想としては、良い行いをした後にも、何食わぬ顔で周囲に接することができるような冷静さを持ちたいものです。