「脛に傷持つ」という慣用句があります。
「脛(すね)」にある傷が見えにくいことから来た言葉です。
背景にある由来を知ると、意味が分かりやすくなります。
この記事では、「脛に傷持つ」の意味と由来、例文から類義語や対義語まで詳しく紹介しています。
脛に傷持つの意味は?
「脛に傷持つ」は「すねにきずもつ」と読みます。
言葉の意味は、他人に知られたくない過去の失敗や過ち、秘密を抱えている状態を指します。
特にその過去が現在の立場や評価に影響を及ぼす可能性がある場合に用いられます。
例えば、政治家やビジネスリーダー、公の立場にある人物が過去に不正行為を行っていたときに、象徴的に使われることがよくあります。
脛に傷持つの由来は?
「脛に傷持つ」の「脛」は「すね」のことで、「向う脛」を指します。
膝から足首までの部分までを「脛」と呼びますが、「向う脛」は足の前側を指します。
過去に人々が着物を着ていた時代は、向こう脛が隠れていることから、人目につきにくい部分でした。
そのため、向う脛に傷があっても、他の人からは見えないですよね。
そこから、「脛に傷持つ」は、人には見えない秘密や弱点を比喩的に表しているということです。
また、元々は「脛に疵持てば笹原走る」という言葉が短縮されたものであると考えられています。
向こう脛は、筋肉や脂肪が少なく、衝撃が直接骨に伝わりやすいため、非常に痛みを感じやすい部位です。
脛に傷があると笹の葉が触れるだけで痛みを感じ、急いで走り出さざるを得なくなることから、何か後ろめたいことがある人は、堂々とした態度で世の中を歩くことができないという意味を含んでいます。
さらに、傷を隠すように慎重に行動する様子から、秘密や後ろめたさを抱える人が、自信を持って行動できないことを示しています。
脛に傷持つの使い方をご紹介
「脛に傷持つ」の使い方として、5つの例文を紹介します。
- 脛に傷持つというように、過去に過ちを犯し、それを隠している人は多いものだ。
- 社長は表向きは成功しているように見えたが、実は脛に傷持つ過去があり、それが原因で夜も眠れない日々を過ごしていた。
- 新しいプロジェクトのリーダー候補として名前が挙がった時、過去の失敗を思い出し、「脛に傷持つ私に務まるだろうか」と自問自答した。
- 彼女は若い頃の過ちを理由に、自分が脛に傷持つ人間であることを隠し、恋人に対しても全てを話せずにいた。
- 新しいチームメンバーが加わったが、彼が以前の職場でトラブルを起こした過去があり、脛に傷持つことが後になって明らかになった。
脛に傷持つの類義語をご紹介
「脛に傷持つ」の類義語としては、過去に過ちを犯したことがあり、それを隠している、あるいは気にしているというような意味合いの言葉が考えられます。
- 負い目をもつ
- 後ろ暗いところがある
- 込み入った理由がある
- ワケあり
- 曰く付き(いわくつき)
といった表現があげられます。
脛に傷持つの対義語をご紹介
「脛に傷持つ」の直接的な対義語をあげるのは難しいですが、過去に恥ずかしい秘密や過ちがなく、清潔で正直な状態を指す言葉が考えられます。
例えば、次のような表現です。
清廉潔白(せいれんけっぱく)
心身ともに清らかで、少しの不正や汚れもないことを意味します。
公私にわたり誠実で、どんな誘惑にも屈しない正直な態度を指します。
品行方正(ひんこうほうせい)
行動や心の在り方が道徳的で正しいことを示します。
社会的な規範や倫理に則った生活を送っている人物に対してよく使われる表現です
青天白日(せいてんはくじつ)
太陽が青空に輝いている様子から転じて、疑い事や心にやましいことが一切ない状態を指します。
また、疑いが晴れることを意味することもあります。
以上の表現は、「脛に傷持つ」の直接的な対義語とは言えないかもしれませんが、反対のニュアンスを持つ言葉として、人の清潔さや正直さ、無実や高潔な品格を強調する際に用いられます。
まとめ
「脛に傷持つ」とは、他人に知られたくない過去や秘密を抱えている状態を指す言葉です。
着物を着用していた時代の由来を知ると、意味が分かりやすいですね。
現在では、小さな過ちであっても傷口が大きく開いて、取り返しのつかない事態に発展することがあります。
誰しも過ちを犯すことはあるので、それを隠さずに認め、前に進んでいくことが大切になりますね。