春の伝統的な和菓子として、草餅とよもぎ餅がありますね。
春の時季になると、これらの和菓子を楽しむ機会も増えます。
ただ、草餅もよもぎ餅も見た目は似ていますが、名前が異なりますよね。
そのため、両者に違いがあるの?と疑問に思うこともあるでしょう。
この記事では、草餅とよもぎ餅、それぞれの特徴と違いについて、詳しく解説しています。
草餅とよもぎ餅の違いとは?
実を言うと、現在は草餅とよもぎ餅の違いはあいまいになっています。
草餅もよもぎ餅も、同じものを指していることが多いです。
ですが、元々は両者に微妙な違いがあったようです。
草餅とよもぎ餅の違いは、主に使用される草の種類にありました。
草餅は、一般的には特定の草を指すわけではなく、地域や家庭によってさまざまな野草が使われることがあります。
一方、よもぎ餅は、その名の通り「よもぎ」という草を使った餅です。
つまり
- 草餅:様々な野草を使う
- よもぎ餅:よもぎを使う
ということになります。
要するに、よもぎ餅は草餅の一種だったということです。
ですが、最近は草餅といっても、よもぎを使うことがほとんどなので、両者の違いはなくなってきているというわけです。
草餅とは?
次に、草餅(くさもち)について詳しく説明します。
草餅は、中国の伝統的な風習から日本に伝わったとされています。
中国では、毎年3月3日の上巳の節句に、邪気を払う力を持つとされる御形(ゴギョウ)を混ぜ込んだ餅を食べる習慣がありました。
この風習は日本にも伝わり、平安時代には母子の健やかな成長を願う意味を込めて、御形を使用した草餅が食されていたと言われています。
草の香りに邪気を祓う力があると信じられていたことに由来し、平安時代には宮中行事の一つとして定着していました。
特に3月3日のひな祭りでは、菱餅の緑色の部分にこの草餅が用いられていました。
律令時代では、貴族が食した菓子として、干し柿や煮あずきと共に草餅が食されたという記録もあります。
ゴギョウは別名を母子草といい、古くは「母子餅」とも呼ばれていました。
しかし、母子草をすり潰して餅に混ぜ込むことが縁起が悪いとされるようになりました。
このため、御形と同様に邪気を祓う力があるとされる蓬(よもぎ)を使うように変わっていきました。
そして、前述したように、現代では草餅と言えばよもぎ餅を指し、一般的なものとなっています。
その結果、現代では草餅には主によもぎが使用されるようになり、春の訪れを感じさせる風味豊かなお餅として親しまれるようになりました。
ただ、岡山県や広島県などでは、今でも母子草で草餅を作る風習が残っているそうです。
よもぎ餅とは?
続いて、よもぎ餅について説明します。
よもぎ餅も、草餅と同じく春の訪れを告げる和菓子の一つで、鮮やかな若草色とよもぎのさわやかな香りが特徴です。
よもぎの葉を練り込んだ餅で、あんこを包んだりきな粉をつけて食べたりすることが一般的です。
地域やお店によって様々な食べ方がありますが、共通しているのはよもぎの独特の風味です。
先述したとおり、草餅とよもぎ餅の違いについては、現在ではほとんどありませんが、草餅にはよもぎ以外の草が使われることもあります。
よもぎ餅の作り方は、よもぎを重曹を入れたお湯でゆでてあく抜きし、すりつぶして使います。
生地は上新粉や白玉粉などの米粉を使用し、水や砂糖を加えてこねます。
蒸し器で蒸した後、よもぎを加えて混ぜ合わせます。
よもぎ餅は、春の和菓子として多くの人に親しまれていますね。
そのため、伝統的な和菓子としてだけでなく、現代の様々な料理にも活用されています。
まとめ
草餅とよもぎ餅は、かつては異なる草を使用していたようですが、現在ではよもぎを使うことが一般的になり、違いはほとんどなくなっています。
ですが、その背後には、深い歴史と文化があります。
春の時季は、その背景を思い浮かべながら、楽しんでみるのもいいですね。