モーリス・ラヴェル作曲のバレエ音楽「ボレロ」は、とても有名ですね。
ラヴェルさんは、私の大好きな作曲家です。
もちろん、ボレロも大好きです。
勉強するときなどに、気合を入れるため、よく聴いたものです。
ただ、ボレロはバレエ曲としては、かなり異色の楽曲。
2つのメロディだけで構成され、それが約15分間繰り返されるだけです。
けれども、飽きない!
曲の出だしから引き込まれ、最後まで聴いてしまいます。
ほんと、魅力的な楽曲ですよね。
そして。
単調な曲だけに、ボレロはあらすじがないものと思われがちですが…
実はボレロにも、バレエ音楽さながらのストーリーがあるんです。
今回は、ラヴェル作曲のボレロのあらすじについて、説明していきたいと思います。
ボレロのあらすじ
モーリス・ラヴェル作曲のボレロにもあらすじがあります。
ただ、曲に比例したような形で、そのストーリーもかなりシンプルなものです。
ボレロのあらすじは以下のようになります。
とある酒場で、一人の踊り子が舞台でリズムを取り始めます。
始めは足慣らしに過ぎなかったのが、次第に踊りへと変わり、振り付けも大きくなっていきます。
それを見ていた酒場のお客さんたち。
最初は気にも留めていなかったのが、次第に興味を持ち始め、どんどん踊りに加わっていきます。
そして、最後は全員が一緒になって踊るのでした。
というお話です。
はい、とても単純なあらすじですね。
ですが、この簡潔なストーリーを、見事に曲で表現していますよね。
最初は小太鼓のかすかな音から始まりますが、次々と様々な楽器が登場し、その編成を変えながら進行していきます。
そのまま、楽器の数だけに音が大きくなり、最後は熱狂的な盛り上がりを見せて終わります。
ボレロを最初から通して聴くと、どんどん迫力が増していくのが分かります。
ボレロに登場する楽器の種類
ラヴェルのボレロは、以上のようなストーリーで構成されています。
踊りのスケールが大きくなるのを、楽曲では、楽器の編成を変えていくことで表現されています。
では、ここで、ボレロのオーケストレーションを見てみましょう。
- Aメロ:フルート/クラリネット
- Bメロ:ファゴット/Esクラリネット
- Aメロ:オーボエ・ダモーレ/フルート/トランペット(弱音器付き)
- Bメロ:テナー・サクソフォーン/ソプラノ・サクソフォーン
- Aメロ:ピッコロ(ホ長調/ト長調)/ホルン(ハ長調)/チェレスタ(ハ長調)/オーボエ/オーボエ・ダモーレ(ト長調)/コーラングレ/クラリネット/クラリネット
- Bメロ:トロンボーン/フルート/ピッコロ/オーボエ/コーラングレ/クラリネット/テナー・サクソフォーン
- Aメロ:フルート/フルート/ピッコロ/オーボエ/オーボエ/クラリネット/第1ヴァイオリン/フルート/フルート/ピッコロ/オーボエ/オーボエ/コーラングレ/クラリネット/クラリネット/テナー・サクソフォーン/第1ヴァイオリン/第2ヴァイオリン
- Bメロ:フルート/フルート/ピッコロ/オーボエ/オーボエ/コーラングレ/クラリネット/トロンボーン/ソプラノ・サクソフォーン/第1ヴァイオリン/第2ヴァイオリン/ヴィオラ/チェロ
- Aメロ:フルート/フルート/ピッコロ/トランペット/トランペット/トランペット/トランペット/ソプラノ・サクソフォーン/テナー・サクソフォーン/第1ヴァイオリン
- Bメロ:フルート/フルート/ピッコロ/トランペット/トランペット/トランペット/トランペット/トロンボーン/ソプラノ・サクソフォーン/テナー・サクソフォーン/第1ヴァイオリン
と、まあ、これだけの楽器が登場し、とても複雑な構成になっています。
なお、小太鼓のみが、楽曲の最初から最後まで同じリズムをずっと刻んでいます。
2小節からなるリズムですが、これを曲中169回繰り返しています。
さらに、楽器の演奏にも工夫がほどこされています。
例えば、最初のフルートは、一番低い音で演奏されますが。
通常、フルートはもっと高い音で演奏されます。
ボレロの出だしのフルートの音色は、一般的にはほとんど馴染みのないものなんです。
また、途中で出てくるトロンボーンは、逆に最も高い音で演奏されます。
ほぼ限界ギリギリの音域だそうです。
このような型破りな演奏方法で、それまでのクラシックには馴染みの薄い音色を織りまぜ、ボレロの独特な雰囲気を作りだしているんですね。
2つのメロディを繰り返すだけの単純な楽曲であるボレロですが。
聴く者の心を魅了する秘密は、ラヴェルさんの考え抜かれた緻密な計算にあったというわけです。
まさに「管弦楽の魔術師」と呼ばれたラヴェルの真骨頂!と言えますね。