東日本のとある所に住んでいた私。

実家は関西にあり、両親は健在ですが、結婚した当時としては珍しい高齢出産で、両親とも80歳を越えています。

そして、妹夫婦・家族も実家の近くに住んでいるのですが…

その妹から、SOSの電話やLINEが何度か送られてきました。

その内容は、母親の物忘れがひどくなり、独り言や被害妄想などが強くなっているというもの。

妹からの相談を受け、一旦、私も帰省することにしました。

この記事は、その母親がレビー小体型認知症と診断され、物忘れや幻視、独り言といった症状、私たち家族がとった対応について書き記したものです。

特に同じような境遇にある方にとって、ご参考になれば幸いです。

レビー小体型認知症の症状

まず、私の母親がどういう症状を患っているのかについて、いくつか挙げてみたいと思います。

おそらくは、レビー小体型認知症の典型的な症状だと思います。

記憶障害・物忘れ

とにかく、物忘れがひどいです。

物忘れは今に始まったことではなく、かなり前からありましたが、数年前から急速にひどくなった感じです。

80歳を過ぎて年相応の記憶力かと思っていましたが、妹の話によると、普通ではないということ。

で、実際に実家に帰省してみると、確かに物忘れがひどすぎて、かなり衝撃を受けてしまいました。

今日が何曜日かすぐに忘れてしまいますし、日付も何月何日か分かっていません。

朝に曜日と日付を教えても、一日中、今日は何曜日なのか?何月何日なのか?を何回も聞いてきます。

私の子供たちが何歳かも覚えておらず、妹の子供たちが何歳かも覚えていません。

普段の何気ない会話も、5分くらい経ったら、その内容を忘れてしまいます。

会話の冒頭に言ったことを、会話が終わるときにはすっかり忘れてしまいます。

また、過去に母親がしゃべったこを自身が覚えておらす、何回も同じ話を繰り返します。

「その話、聞いたよ」と言ったら、「え、言ったっけ?」と、いつも同じ反応をします。

そして、やっかいなのが、本人は自分が忘れていないと思いこんでいる時があること。

母親自身も自分が忘れっぽいと自覚はしているのですが、不機嫌になると、自分は忘れているのではなく、事実そのものがなかったと否定してしまいます。

私や妹、父親が過去に言って納得してもらったことでも、忘れていることがほとんどなのですが、自分は忘れてはおらず、そういう話自体を聞いていないと頑なに主張します。

そういうモードになると、こっちが何を言っても、聞く耳を持たなくなってしまいます。

ただし、これは、私の母親の頑固な性格によるものかもしれませんが…

いずれにせよ、物忘れのひどさは急速に進行している様子でした。

独り言・幻視

10年くらい前から、母親はよく独り言をつぶやくようになりました。

それが、帰省するたびに、ひどくなっているのは感じていました。

そして、今回実家に帰ってみて、あまりの独り言のひどさに、これまた衝撃を受けました。

耳がかなり遠くなっているので、独り言の声が大きすぎるんです。

というより、もう独り言というレベルのものではなく、そこに誰かがいるかのように大声でしゃべっているという感じです。

これ、他人が見ると、背筋が凍りつくような光景だと思います。

子供の私たちでさえ、不気味に思えましたから(汗)

特に怒りがたまっているときは、大声で叫びながらテーブルを叩いたり、買い物袋を叩きつけたりします。

そんな母親の姿を見るのは、本当に辛いものです…

母親自身も独り言は自覚しているようで、私たちがそばを通ったりすると、しゃべるのは一旦止めます。

本人が言うには、独り言を言わないと、やってられない、クセになっているので止めようがないとのこと。

また、誰かに語りかけているように大声でしゃべるので、幻視を疑い、本人に確認したのですが。

母親からは「そんな人なんか見えるわけない」と返されました。

ただし、これも実際のところはよく分からない状態です。

だって、どう見ても、誰かが目の前にいて、その誰かに語りかけているようにしか見えないので。

仮に誰かが見えていないとしても、少なくとも妄想の中で、誰かに語りかけているものだと思います。

被害妄想

妹が最も心配し、今回の私の帰省の一番大きな原因となったのが、母親の被害妄想でした。

詳しくお話しすると、かなり長くなってしまうので、詳細は省きますが。

簡単に言ってしまうと、母親が父親や親戚と衝突して、うまくいっていないということでした。

父親に関しては昔からよくケンカはしていたので特に驚きはしませんでしたが、親戚に関しては本当に仲が良かったのに、なぜ!?とビックリしました。

妹の話によると、親戚に冷たい態度をとられ、母親がかなり怒っているとのこと。

そして、実家に帰ってみると、全く妹の言う通りでした。

先述の「独り言・幻視」に関係してきますが、

「あんたらな、常識というものがないのよ!」

「何で私にそんな態度をとるの?」

と、誰もいないところで、大声で独り言で親戚のことを罵ることが、よくありました。

そんな状態なので、実際に親戚と何があったのか?を、それとなく妹に調べてもらいました。

すると…

母親の勘違いであり、完全な被害妄想であることが分かりました。

しかし…

その事実を母親に伝えたところ、そんなはずはない、私は騙されないと、全く受け入れてもらえません。

あげくの果ては、私たち兄妹の頭がおかしいとまで言い出す始末。

それからというもの、母親と父親の仲がさらに険悪となり、大ゲンカをすることも増えてしまいました。

あるときは、

「私の今までの努力は誰も認めてくれない!」

「私はひとりぼっち!」

と、母親が泣きくずれることがありました。

このときは、私もさすがに自分の責任を感じずにはいられませんでした。

今まで、かなり両親、特に母親には色々迷惑をかけてしまったので。

なので、母親の被害妄想は、今回の騒動だけでなく、今まで蓄積されたきた辛い思いも原因の1つではないかと考えています。

睡眠障害・不眠

眠れない日が多いらしく、毎日睡眠不足だと母親自身が言ってます。

寝つきが悪いときもあれば、眠ることができても夜中や明け方にすぐに起きてしまうらしいです。

そのため、一日中、「眠い~ 眠い~」「睡眠不足で調子が悪い~」とボヤいていましたね。

ただ、昼寝をすると大分元気になるようで、よく昼寝をしていました。

また、夜に寝ているときは、時々寝言をいうことがありました。

夜中に寝ぼけて徘徊するということはなかったですが、寝言は独り言と同じような感じでつぶやいていました。

1日の大半をボーと過ごす

不眠と関係するのかもしれませんが、半日以上はボーとしてベッドで寝そべりながらテレビを見ることが多いです。

話しかけても無表情で、何が起こったのか分かっていない様子でした。

何をするにも無気力で、簡単な料理や買い物はできるのですが、「頭が回らない」とよく言ってました。

ところが、昼寝などをして少し元気になると、やたらとしっかりしています。

そういうときは、父親とケンカになったり、私に30分以説教したり、過去の話をしたり。

もちろん、その説教であれ、過去の話であれ、以前に何度も聞いた同じ話の繰り返しであります(汗)

気になるのは、ボーとしているときと、しっかりしているときの差が激しいこと。

はたから見ると、躁うつ病(双極性障害)なのでは?と思ってしまうくらいです。

ですが、これもおそらくはレビー小体型認知症の症状の1つだと思われます。

パニック発作 ※追記

夜中2時30分頃に、父親に起こされたことがありました。

母親が「しんどい、しんどい」と叫んでいるとのこと。

慌ててかけつけると、ベッドの中で縮こまって過呼吸のような発作を起こしていました。

母親の話によると、トイレに行って戻ってきたら、息苦しくなって目まいがして倒れそうになったということでした。

「もう、私は終わりだと思った。もうダメだと思った」と言いながら、泣きじゃくっていました。

死にそうになる感覚に陥ったようです。

そのため、救急車を呼ぼうとしましたが、母は救急車は嫌だ!と言って頑なに拒否します。

なら、タクシーなら大丈夫かと尋ねると、それならOKとなりました。

そういうわけで、近所の救急病院に電話して救急措置を頼むことにしました。

ところが、外科の先生しかいないので対応できないと断られてしまいました。

仕方がないので、もう1軒の救急病院に連絡しようしたところ、母親の発作は大分おさまっていました。

母も「大丈夫みたい。眠くなったので寝る」と言って、そのまま寝てしまいました。

その後症状は落ち着いていましたが、心配なので、その日の朝に認知症検査をしてもらった主治医の先生の予約を取り、詳しく診てもらうことにしました。

すると、主治医の先生の話では、レビー小体型認知症の患者さんは、パニック発作のような症状を起こすことはよくあるそうです。

実際に先生も、パニック発作を起こしたレビー小体型認知症のお年寄りの方が救急車で運ばれてきて、何度もその対応をしたとのことでした。

とりあえず、この日は抗うつ剤のようなお薬を追加してもらい、服用することになりましたが、今のところ母親はパニック発作のような症状はなく落ち着いています。

私たち家族がとった対応

母親が上記のような状態に陥ったので、とにかく早く手を打たないといけないと思い、親戚の助言もあって、まずは地域包括支援センターに相談しました。

すると、年齢が80歳を越えているということもあり、病院での認知症の診断と介護認定を同時に進めた方がよいとアドバイスしてくださいました。

そして、認知症を専門に取り扱う病院も紹介してもらいました。

ここで注意しておきたいことは、介護認定の訪問日は、申請してから約1ヶ月かかるということです。

病院の方は数日後に予約を取ることができましたが、介護認定は、地域包括支援センターで申請しても、区役所で申請しても、1ヶ月ほど待ってもらわないといけないということでした。

というわけで、私と妹が付き添ってまずは病院に行き、脳のMRIや心電図、血液検査など、色々と調べてもらいました。

そのあと、問診で認知症の程度を診断してもらいました。

すると…

いわゆる長谷川式簡易知能評価スケールでは、認知症の一歩手前という診断。

そして、能のMRIの診断では、能の状態からほぼレビー小体型認知症で間違いないとのことでした。

診断結果を聞いたときは多少ショックではありましたが、レビー小体型認知症の疑いは持っており、ある程度覚悟はしていたので、それほど落ち込むことはありませんでした。

お医者さんの話では、レビー小体型認知症の進行を遅らせることはできるが、元通りに回復させることはできない。

ただ、認知症のお薬で、レビー小体型認知症の患者さんはよくなるケースが多いということでした。

また、私たち家族の母親の対応としては、とにかく母親の話を否定してはダメで、聞いてあげること。

聞くのがしんどいのであれば、聞き流すだけでもよいということでした。

父親とのケンカについても、お互い80歳を越えているので、怒ってしまうのは仕方がないこと。

険悪なときは、できるだけお互いを物理的に離してしまうのが一番よいということでした。

まあ、ちょっと悲しいものはありますけどね…

病院での診断結果を父親にも伝えましたが、その後、母親とのケンカは絶えませんでした(汗)

母親の物忘れや被害妄想に対して、どうしてもイライラしてしまう。

母親がそういう状態なので、父親がほとんどの家事をしているのですが、それがまた父が理不尽に感じてしまう原因のようです。

それはよく分かるのですが、もう少し父親が理解してくれたなぁと、そうしたらかなり助かるのになぁと思いますね。

ともかくも、私と妹ができることは、とにかく母親と父親の愚痴を聞くことです。

そうすることで、少しはお互いが楽になるようです。

私が帰省する前は、両親が妹の家に来て、妹がお互いの愚痴を聞いていたそうです。

妹は、今回私が帰省したことに対して、ほんとに助かったと言ってくれましたが。

いやいや、感謝すべきは私の方で、ここまで母親がひどくなっていたとは知りませんでした。

妹からの相談がなければ、もっとひどいことになっていたでしょう。

しかも、私は一時的に帰省しただけで、ずっと実家に留まることはできません。

妻と子供を置いたまま、実家に戻ってきた状態です。

1ヶ月ほどはテレワークで実家でも何とかなりますが、さすがにそれ以上になると、仕事にも支障をきたしてしまいます。

介護認定の訪問日(2回 1回)までは実家にいるつもりでいますが、それ以降は一旦向こうに戻って、1ヶ月に1回以上は実家に帰省する。

とりあえずは、そういう生活を送ることになりそうです。

現在、介護認定はまだ受けていない状態ですが、介護認定で詳細が明らかになったら、また報告させていただきたいと思います。